フェイクニュースをつくった人たちが国民の税金を使って「ファクトチェック」していただなんて【10月5日付社説】

 文在寅(ムン・ジェイン)政権当時、フェイクニュースを検証するため、国民の税金を投じて発足した「ファクトチェックネット」が今年初めに予算不足などを理由に閉鎖されたという。ファクトチェックネットはハンギョレ新聞、ニュース打破、KBS、MBC、メディアオヌルのほか、それらメディアに類似するメディア・社会団体の関係者が大挙参加した。2020年以降、予算が25億ウォン(約2750億円)も投入されたが、監督機関である放送通信委員会との事前協議もなしに解散してしまった。結局一部の政治偏向活動に税金を無駄遣いした格好となった。

【表】福島原発汚染水ファクトチェック

 ファクトチェックネットに参加したニュース打破は昨年の大統領選の3日前、「国民の党の尹錫悦(ユン・ソンニョル)候補が2011年に釜山貯蓄銀行事件を捜査した当時、大庄洞開発の融資ブローカーC氏に会い、コーヒーをいれて、事件をもみ消した」という全国言論労組の申鶴林(ソン・ハクリム)元委員長の虚偽インタビューをそのまま報道した。とんでもないフェイクニュースだった。申氏はこのインタビューの後、金万培(キム・マンベ)氏から申氏が執筆した本3冊の代価として、1億6000万ウォンを受け取った。申氏とニュース打破の行動は、到底マスコミとは呼べないものだった。

 当時KBS、MBC、YTN、JTBC、ハンギョレ新聞などはそれを引用して大きく報道した。それを契機に李在明(イ・ジェミョン)代表と民主党は「大庄洞は尹錫悦ゲートだ」と主張した。申氏とニュース打破が主導したフェイクニュース選挙工作に野党寄りのマスコミが加担したわけだ。この一件でKBSなどは放送通信委員会から重い懲戒処分を受けた。ところが、そうしたフェイクニュースをつくって広める先頭に立ったメディア関係者が国民の税金でフェイクニュースを指摘するファクトチェック組織を運営していた。彼らは1件当たり5万~15万ウォンの謝礼も受け取った。ファクトチェックネットの関係者の中には、金万培氏から数億ウォンの金を受け取った人物もいた。

 ソウル大系の「SNUファクトチェック」で1件当たり平均費用が47万ウォンだったのに対し、ファクトチェックネットが使用した費用は1000万ウォンをはるかに超えたという。ファクトチェック件数もSNUファクトチェックが約10倍多かった。ファクトチェックの内容も文在寅政権と民主党に有利な内容が圧倒的に多かった。「政府債務が文政権の4年間で400兆ウォン増えた」という報道は「事実ではない」といった具合だった。ファクトチェックの客観性と信頼性も失墜したのだ。ファクトチェックネットはウェブサイトも閉鎖し、これまで自分たちが行ってきたファクトチェックの内容さえ確認できないようにした。恥ずべきことだ。

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  • ▲2021年、ソウル市陽川区木洞の放送会館で「ファクトチェックネット」発足懇談会が開かれている。/聯合ニュース

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