韓国大統領選前日に税金で尹錫悦候補フェイクニュースを有権者475万人の携帯に送信、防ぐ方法を探すべきだ【10月6日付社説】

 2022年3月に行われた韓国大統領選の前日、李在明(イ・ジェミョン)候補が有権者475万人に公式な選挙運動の携帯メール(SMS)で「尹錫悦コーヒー疑惑」に関するフェイクニュースを送信していたことが確認された。携帯メールを送るのに約4800万ウォン(約529万円)がかかり、選挙後に費用を補填された。結果として、選挙前日に国民の税金でフェイクニュースが流されたのだ。

【写真】韓国大統領室高官が「まれに見る大統領選工作事件」と評したJTBC報道(上)と2022年韓国大統領選直前に引用・拡散されたニュース打破「虚偽インタビュー」

 問題となったのは「尹錫悦(ユン・ソンニョル)候補が11年に釜山貯蓄銀行事件の捜査を行った当時、ブローカーC氏にコーヒーをいれて事件をもみ消した」という趣旨の「ニュース打破」による報道だ。金万培(キム・マンベ)氏に対する虚偽インタビューをつなぎ合わせたものだった。李代表側は「当時虚偽インタビューだということを誰も知らなかった」と抗弁した。だが、李代表は金万培氏が申鶴林(シン・ハクリム)元言論労組委員長の虚偽インタビューを受けた直後の21年10月から「尹錫悦コーヒー疑惑」を既定事実かのように主張し、「大庄洞ゲートは尹錫悦ゲート」と断じていた。大統領選3日前にニュース打破がフェイクニュースを実際に報道すると、李代表はわずか1時間後に自身のフェイスブックに「拡散してほしい」と投稿。フェイクニュースという事実は知らなかったかもしれないが、フェイクニュース勢力と通じていた疑いはある。その後、左派メディアの引用報道と「いいね!」の数の操作が続いた。

 李候補が「尹錫悦コーヒー疑惑」がフェイクニュースだという事実を知らなかったとしても、フェイクニュースが有力な大統領選候補を通じ、数百万人の有権者に伝えられた構造は深刻な問題だ。選挙直前の短時間では真偽を判断しにくいフェイクニュースは、選挙結果を変えることもあり得る。02年に金大業(キム・デオプ)氏が主張した李会昌(イ・フェチャン)候補の兵役不正疑惑は、後日完全な捏造であることが明らかになったが、その時点ではもはや選挙結果を覆すことはできなかった。

 ソーシャルメディアを通じた選挙世論操作犯罪は日増しに増えている。12年の大統領選で100件、17年の大統領選で126件だったものが、前回の大統領選では431件に上った。ドルイドキングの一団は、17年の大統領選で600余りのIDを使い、あちこちにコメントを付け、世論を操作した。最近韓国のポータルサイトで行われたアジア大会のサッカー韓中戦の応援数操作は、海外のIPアドレスたった2カ所から約2000万件ものクリックがあったという。少ない人数でも人為的に現実と正反対の世論をつくり出すことができるという事実を示している。

 フェイクニュースによる選挙操作は与野党いずれも被害者になりかねない。現行法では処罰に限界がある。この機会に操作が介入できないよう与野党が共同で法令を整備しなければならない。

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