ハマス非難巡り思惑が交錯する米・日・中…国益で異なるそろばん勘定

 パレスチナのイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃から始まった今回の戦争は5日目に入ったが、主要国の多くは傍観する態度を示している。ロシアによるウクライナ侵攻で世界は一気に両陣営に分かれ結束したが、今回はこれとは非常に対照的だ。複雑な中東情勢と自国の利害を考えた上での行動とみられる。

【写真】11日、ソウル都心で開かれた「パレスチナ支持集会」

 大統領選挙を1年後に控えた時期に新たな課題に直面した米国のバイデン政権は同盟国であるイスラエルを支援はするが、直接の介入は避けようとしている。ウォールストリート・ジャーナルは「米国はイランを巻き込んだこの地域の紛争に巻き込まれるのを避けながら、イスラエルを引き続き力強く支援できるかが問題」と指摘した。

 同盟国を支援する方針は明確にするが、必要以上の刺激は避けたいとする米国のジレンマはバイデン政権の動きからも見て取れる。小規模な特殊部隊を派遣し、2隻の原子力空母を同時にイスラエル近海に配備する方向で検討はしているが、ハマスの背後にあるイランを直接名指しはしていない。ホワイトハウス国家安全保障会議のカービー戦略広報調整官は10日(現地時間)、MSNBとのインタビューで「イランは長い間ハマスやこの地域のテロ組織を支援してきたが、今回の攻撃に直接介入した具体的な証拠は確保していない」と述べた。カービー氏は前日「イスラエルに米軍の地上部隊を派遣する計画はない」とも明言している。

 このような米国の動きは今のバイデン政権の方針の延長線上にあるようだ。バイデン政権は中国への対応に力を入れるため、それ以外の地域では極力消耗を避けたいと考えている。

 バイデン政権は「屈辱的」との非難を受けながらも就任1年目にアフガニスタンから米軍を撤退させ、一環翌年からはロシアに侵攻されているウクライナに武器や資金の支援を行ってきたが、派兵には最後まで応じなかった。最近は中東の反イラン連帯構想の一環としてイスラエルとサウジアラビアの関係正常化に向けた仲裁に力を入れている。

 米連邦議会下院議長が現在空席という複雑な国内事情も迅速かつ果敢な支援の障害となっている。ただし民主党と共和党のいずれもイスラエルへの早期支援では一致しているため、臨時の下院議長体制で例外的に支援法案を成立させる可能性も浮上している。マッキンリー下院議長代行はこの日「政府として行動すべきなら行動する」と発言した。

 今回の事態で米国の国力が分散され、経済面と安全保障面で米国などからさまざまな分野で圧力を受けている中国がやや息を吹き返すとの見方もある。来月サンフランシスコで予定されているアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でバイデン大統領と中国の習近平・国家主席の首脳会談が予定されているが、これについて中華圏メディアは11日「今回イスラエルとハマスの戦争は重要な議題になるだろう」と一斉に報じた。シンガポール聯合早報は「両国が合意を見いだせる議題はほぼないが、イスラエルとパレスチナの休戦については意見が一致する可能性がある」と予想した。

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