韓国海洋水産部長官「日本の水産物、全面禁輸は行き過ぎ」

「韓国の方が日本に多くの水産物を輸出している」
相互主義の原則から輸出減少や漁業関係者の所得減少を懸念

 韓国海洋水産部(省に相当)の趙承煥(チョ・スンファン)長官は12日、中国のように日本全国の水産物輸入を禁止すべきではないかとの質問に「全面禁輸は行き過ぎ」として反対の立場を明確にした。水産物貿易では日本に対して黒字の韓国が日本産水産物の輸入を全面的に禁止した場合、相互主義の原則から韓国産水産物の輸出が制限され、韓国国内の水産業に被害を及ぼしかねないことがその理由だ。

【写真】東京で寿司職人の目の前で放射能数値を測定する中国人男性

 趙長官は同日、国会で農林水産食品海洋水産委員会の国政監査に出席し、野党・共に民主党の尹才甲(ユン・ジェガプ)議員からの上記の質問に「全面禁輸は行き過ぎだ」とした上で「わが国は水産物貿易で日本に対して黒字だ。4倍ほど輸出しているが、これに対する対策が必要ではないか」と答弁した。

 趙長官は「韓国が日本の水産物を全面禁輸にまで拡大した場合、世界貿易機関(WTO)での紛争につながる恐れがある」との見方も示した。

 韓国は2013年9月から福島県とその周辺8県で水揚げされた水産物の輸入を禁止している。

 「2021年のロンドン条約およびロンドン議定書当事国総会で韓国は福島汚染水の海洋放出決定への懸念を示したが、今年の総会では日本を擁護したのではないか」とする尹議員の指摘に趙長官は「21年は国際原子力機関(IAEA)による検証計画もなく、また情報交換も行われなかった。そのような状態で一方的に放出することへの懸念を表明したものだ」「今はIAEAによる検証や原子力安全委員会の検証結果を信じるべきだ」と答えた。

 与党・国民の力の鄭熙溶(チョン・ヒヨン)議員が「福島県産農産物や水産物が他の地域で加工された場合、原産地表記は可能か」と質問すると、趙長官は「現実的に不可能だ。そのため放射性物質が出ないかチェックしなければならない」と答弁した。

 福島汚染水に対する国策研究機関の研究報告書が昨年9月に取りまとめられたが、これが非公開とされたことについて趙長官は「非公開の決定について政府は全く関与していない」と説明した。

ユン・ヒフン記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲韓国農林畜産食品海洋水産委員会の国政監査で議員からの質問に答える韓国海洋水産部(省に相当)の趙承煥(チョ・スンファン)長官。12日撮影。/ニュース1

right

あわせて読みたい