国際社会が中国に圧力を加えれば野蛮な脱北者強制送還を阻止できる【10月18日付社説】

 韓国と米国が北朝鮮の人権問題について話し合う2国間協議体の設置を目指すことになった。韓国外交部(省に相当)と来韓中のジュリー・ターナー米国務省北朝鮮人権特使が合意した。先日中国が大人数の脱北者を北朝鮮に強制送還したことで北朝鮮人権問題への関心が改めて高まっているが、そのような中でこの協議体発足は韓米両国による共同対処の枠組み設置という大きな意味合いを持つものだ。朴槿恵(パク・クンへ)政権当時も韓米両国による同じような協議体があったが、会合を2回行っただけで文在寅(ムン・ジェイン)政権発足により廃止されてしまった。

 中国による脱北者強制送還を阻止することは非常に難しい。しかし国際法上の難民であり、憲法で大韓民国国民でもある脱北者が強制送還される事態をこのまま手をこまねいて見過ごすわけにはいかない。脱北者の強制送還は単に国境を越えた外国人を自国に送り返すものではなく、飢えに苦しみながら迫害を受け、生きるために北朝鮮から逃れた難民を地獄に送り返す野蛮な行為だ。

 脱北者の強制送還はもちろん、中国による野蛮な行為は国際社会にもっと幅広く、かつ効果的に知らせねばならない。もちろん今すぐ効果を見いだすのは難しいだろう。しかし長い時間をかけて努力を続ければ、中国も間違いなく負担を感じるはずだ。中国は共産党が支配しているが、国連安保理の常任理事国であり世界と貿易を続けねばならない国でもあるため、国際社会の評価を無視することはできない。そう考えれば韓米北朝鮮人権協議体の発足は中国の野蛮な行動を変えさせる第一歩になり得るものだ。

 今北朝鮮にはキム・ジョンウク宣教師をはじめ6人の韓国国民が抑留されている。中には10年にわたり生死が分からないケースもある。さらに数多くの拉致被害者や韓国軍兵士だった捕虜も今なお戻れていない。全て韓米北朝鮮人権協議体で取り扱うべき人権問題だ。韓米日首脳は今年8月、キャンプ・デービッド首脳会議の共同声明に「抑留者・拉致被害者・韓国軍捕虜問題の解決に向けた3カ国協力」を初めて明記した。今回の韓米北朝鮮人権協議体の発足はこの共同声明の精神にも合致する。必要であれば日本やEU(欧州連合)とも協力を進めていかねばならない。

 今回の中国による脱北者集団強制送還の際に韓国政府は何もできず手をこまねき批判を受けた。強制送還自体は十分に予測できたことだが、これを阻止するための実質的な努力を一切傾けなかったとの指摘は避けられないだろう。今回の韓米協議体発足も「相次ぐ批判を一時的にかわすため」との指摘もある。最初の会合が開かれた際には、中国による脱北者強制送還を非難し、これを阻止する実質的な対策からまずは議論しなければならない。米国だけでなく国際社会全体とも協力を進めるべきだろう。韓国政府の本気度が近く明らかになるはずだ。

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  • ▲ソウル市鍾路区の政府ソウル庁舎で会談前に握手する韓国統一部(省に相当)の金暎浩(キム・ヨンホ)長官(右)と米国務省のジュリー・ターナー北朝鮮人権特使。17日撮影。/聯合ニュース

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