前国連事務総長「バイデン氏中東外交の成功祈る」 ソウル安保対話開会式

【ソウル聯合ニュース】韓国の国防部が主催する多国間安全保障会議「ソウル安保対話(SDD)」の開会式が18日、ソウル市内のホテルで行われた。潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長は基調演説で、イスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃して始まった武力衝突に言及し「中東情勢が悪化の一途」をたどっているとした上で、17日(米国時間)にイスラエルへ出発したバイデン米大統領について「中東問題の平和的解決を目指し直接的な外交活動を展開していることに深い敬意を表し、成功を願う」と述べた。

 潘氏は北朝鮮の核・ミサイル脅威に対し「韓国への実質的な脅威であると同時に、国連安全保障理事会の制裁決議という国際規範に対する真っ向からの挑戦」と指摘。北朝鮮とロシアの軍事協力も朝鮮半島の安保にマイナスの影響を及ぼすと、懸念を示した。

 韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「経済と安保は一つ」という発言を取り上げ、「こんにちの経済問題は国家安保とも直結する」と述べた。人類は気候変動や感染症のパンデミック(世界的な大流行)、サイバー攻撃など、国境を越えた脅威に直面しているとの認識を示し、一つの国・地域だけでは解決できないとしながら国際社会の協力と連帯を呼び掛けた。

 開会のあいさつで申源湜(シン・ウォンシク)国防部長官は、北朝鮮の核・ミサイル能力の高度化が世界の安保を脅かしており、北朝鮮に核開発を断念させるには世界中の協力が重要だと強調。北朝鮮に対し「核開発で得られる利益はなく、国際社会で孤立する」ということをしっかり認識させる必要があると述べた。

 趙太庸(チョ・テヨン)国家安保室長はロシアによるウクライナ侵略、ハマスの攻撃で始まったガザ地区での衝突、北朝鮮の核・大量破壊兵器開発を挙げ「特定地域に限った安保危機ではない」と指摘した。ハマスによるイスラエル奇襲攻撃については「われわれの安保とも関わり、深く省察すべき重要な点があると考える」と述べた。世界中が一層強く連帯する必要があるとしながら「原則に立脚し、一貫して行動し、違法な挑発を断たなければならない」と強調した。

 ソウル安保対話は前日に始まった。56カ国と二つの国際機関で安全保障を担当する約800人が参加し、オーストラリアやマレーシア、モンゴル、ブルネイ、フィジーの5カ国からは閣僚級が出席している。19日まで。

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