海面を覆う赤い座標…文政権時代雨後のたけのこのように生まれたものとは

 韓国政府が再生可能エネルギーの普及拡大を目的として認可基準を緩和した際に、海上風力発電事業のための風況計測器が海に乱立したことが18日までに分かった。朴槿恵(パク・クンヘ)政権までは10件にとどまっていた風況計測器の許可件数が、文在寅(ムン・ジェイン)政権の発足以降は166件に急増していたのだ。

【写真】工事が中断したまま放置されている慶尚南道統営市の欲知島沖にある風況計測器

 韓国与党「国民の力」のパク・スヨン議員室によると、今年6月現在で海洋水産部(省に相当)が許可した風況計測器は計218台。風況計測器とは、海上風力発電事業を開始する前に、事業の経済性を測定するために設置する装置だ。海上風力発電事業の許可を受けるためには、1年間にわたって事業予定地の風とその強さ、方向などを測定し、測定データを提出しなければならない。つまり、風力発電のための予備装置といえる。

 風況計測器が設置された場所を地図で見ると、ほぼ同じ地域に密集していることが分かる。計測器が乱立した理由は、認可基準の緩和を悪用して先手を打った業者がいたためと考えられる。風力発電事業を開始するつもりがないにもかかわらず、ひとまず許可を受けて計測器だけ設置し、実際に事業を展開しようと考える事業者に高額で事業権を転売するという手口だ。韓国産業部(省に相当)に対する昨年の国政監査では、島しょ地域に風況計測器を設置した後、海上風力発電事業者に約10億ウォン(約1億1000万円)を上乗せして事業権を売却したケースがあったことが指摘された。

 風況計測器の急増に伴って、被害を懸念する漁業関係者の反発やデモも拡大している。計測器が操業を妨害するケースや、航路をふさいで漁船と衝突するケースもあったからだ。このため産業部は昨年11月、海上風力の健全な普及のために、計画立地方式(広域自治体が最適な敷地を選定した上で国の承認を受け、民間事業者に敷地を供給して民間事業者が地区開発を行う方式)の導入を表明した。しかし、すでに文政権で全体の76%に達する風況計測器の設置許可が下りたため、計画立地の導入は容易ではないとの指摘が出ている。

 過去の政権別に見ると、風況計測器の許可件数は金大中(キム・デジュン)、廬武鉉(ノ・ムヒョン)政権では各1件、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵政権では各4件にすぎなかった。しかし、文政権発足後は166件(76%)へと急増。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権では42件(20%)が許可を受けている。

 海上計測器が占める面積を、産業部の基準に基づいて発電事業の有効地域を半径7キロメートルの範囲として計算すると、218台の計測器が海に占める面積は3万7932平方キロメートルに達する。これは、最近になって有効地域の面積基準が小さくなったため、新たな基準を基に計算したものだ。文政権当時の基準(最大有効地域628平方キロメートル)で計算すると、海上計測器が占める面積は11万528平方キロメートルに及び、これは韓国の面積(10万413平方キロメートル)より広いことになる。

 パク・スヨン議員は「文政権の無分別な許可によって漁業関係者が苦痛を強いられている間、事業者は事業権を転売し、不労所得を手にするなどさまざまな問題が発生した」として「政府は体系的な管理を通じ、事業権の買い占め・転売といった悪質行為を根絶し、安定的なエネルギー需給を目指すだろう」と述べた。その上で「デンマークは既に2009年に計画立地制度を導入しているほか、米国やオーストラリアなどの国々も同様の制度を運用し、民間事業者が乱立しないよう体系的な管理を実施している」と説明した。

イ・ガヨン記者

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  • ▲今年6月までに韓国海洋水産部が許可した風況計測器(計218台)の場所を示す地図 /パク・スヨン議員室提供
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