元サムスン社員、う回就職の疑いで転職禁止…技術保護の色彩強まる韓国の法律

■技術流出防ぐ法・制度の変化、判決にも影響

 法曹界は裁判所が国外への技術流出の恐れがある転職や営業秘密侵害に関連する判決を下す場合、以前より技術保護主義的に判断する傾向が見られると指摘する。これは韓国の政府と国会が技術流出を敏感にとらえ、厳しく処罰するための法・制度改善案を示しているためだ。法が強化されたことで、それが自ずと判決にも反映されていることになる。

 例えば、裁判所が特定技術や情報について、営業秘密と認定する範囲が広くなった。不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(不正競争防止法)によれば、営業秘密に該当する要件の一つとして「秘密管理性」の有無がある。つまり当該技術や情報を秘密にするために努力したかどうかだ。 1991年の同法施行当時には「相当な努力によって秘密として維持されなければならない」としたが、2015年には「合理的努力によって秘密として維持された」に緩和され、18年には「合理的努力によって」が削除された。

 ソウル地裁知識で財産専担部長判事を務め、現在は法務法人太平洋に所属する廉皓ジュン(ヨム・ホジュン)弁護士は「不正競争防止法に続き産業技術保護法が制定され、国外に国家核心技術を流出させた場合、加重処罰する規定ができ、産業界でも内部制度の整備が進んだ」とし、「自主的にフォレンジックなどを通じ、技術、営業秘密が流出したかどうか確認することができ、証拠確保が容易になった側面もある」と話した。

 こうした判例の傾向は今後さらに明確になりそうだ。政府が国家核心技術の範囲を拡大しており、技術の国外流出を防ぐための新しい法制度を相次いで導入しているためだ。 国家核心技術は半導体、自動車、二次電池など韓国の主力産業関連技術であり、海外に流出すれば、国家的な打撃を受けかねない。産業通商資源部がこれまでに告示した国家核心技術は73件だ。

 今年6月に可決された国家先端戦略産業競争力強化および保護に関する特別措置法施行令によれば、政府は国家核心技術を持つ人々を専門人材として指定することができ、企業は彼らと国外離職を制限する契約を締結することができる。契約内容に「転職および起業関連情報の提供」が含まれる点が既存の転職禁止約定と異なる点だ。退社後どこに移るのかを明らかにする義務を追加したのだ。

 大検察庁は技術流出犯罪の量刑基準を新たに定める作業を進めている。産業技術保護法では国家核心技術を海外に流出した場合、3年以上の懲役と15億ウォン以下の罰金を科すことができる。しかし、量刑は国外流出で懲役1年~3年6月であり、加重処罰でも最長6年だ。初犯が多く、被害規模の算定が難しいためだ。

イ・ホンスン記者

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  • ▲李在鎔・サムスン電子会長が22日、ベトナム・ハノイ郊外のサムスンディスプレイ現地法人を訪問し、工場内をチェックしている/同社提供

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