「やや」親北? 朝鮮総連のウェブサイトをぜひご一読ください(下)【寄稿】

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 総連の最大の過誤は、在日同胞の北送事業だ。北送事業は平壌の情報機関によって企画され、日本における北送事業の実行は総連を通してなされた。総連は平壌の指令を受けて、9万3340人の在日同胞を北朝鮮へ送還した。1959年に北朝鮮と日本が締結した「在日朝鮮人の帰還に関する協定」により、俗に「資本主義から社会主義への民族大移動」と呼ばれる北送事業が始まった。6・25戦争後に労働力が不足していた北朝鮮は在日同胞の送還で人間を補充しようとし、日本は負担と化していた在日朝鮮人を強制退去させる北送に合意した。1984年まで25年間、計187回にわたり、北送船が新潟港から北朝鮮の元山港に向かった。

 総連は「北朝鮮は差別のない地上の楽園」だと在日同胞らを扇動する行動隊長だった。万景峰号に乗った在日同胞らは、元山港に降り立った瞬間、地獄に着いたと嘆息したが、既に船は日本へと出航していた。手紙の検閲など日本との連絡が禁止されたことにより、在日同胞が総連の虚言にだまされて生き地獄へ送り込まれることが続いた。日本に残っている同胞らは、北朝鮮の地で苦難の生活を送る親類に毎年、相当な額の送金を行わなければならなかった。今も多くの当事者が北朝鮮で忍苦の歳月を送っており、一部は脱北して北朝鮮の蛮行を告発している。

 韓国野党のある国会議員が今年9月上旬、朝鮮総連の主催する関東大虐殺100周年追悼式にこれ見よがしに出席した。大韓民国を支持する民団(在日本大韓民国民団)の行事には参加せず、北朝鮮を祖国とする総連を、あたかも平凡な市民団体であるかのようにごまかした。歴史の真実から目を背け、無視したのだ。別の野党最高委員は、1970年に大法院(最高裁に相当)が反国家団体と判決した総連を「やや少し親北」と評した。総連のウェブサイトには自らをPRする文言があるので、ぜひ読んでみることを提案する。「北朝鮮の国家的、法的保護を受ける海外同胞団体」という説明でもって、平壌の海外工作機関であることを自ら証明している。「われわれは、朝鮮民主主義人民共和国を熱烈に愛し擁護し…」など、平壌を慕う文言でいっぱいの総連綱領は、口にするのもはばかられる。

 野党議員の総連行事出席が金正恩(キム・ジョンウン)体制に対する心のこもった片思いなのか、それとも大韓民国を無視するゆがんだ小英雄主義に由来するものなのかは分からない。本心が何なのかは知り得ないが、韓国の国会議員の資格で総連の公式行事に参加するのは、国会議員が平壌の統一戦線戦術に同調するものだ。

 金大中(キム・デジュン)元大統領は、1988年の徐敬元(ソ・ギョンウォン)議員密入北、89年の文益煥(ムン・イクファン)牧師密入北事件を「在野英雄主義」と批判した。彼は、コントロールされていない親北学生運動出身者らの無分別な密入北の動きにひやひやしていた。韓国の国会議員であれば、金正恩政権以降の軍事挑発に加えて、経済難で崖っぷちに追い込まれた北朝鮮人民の粗末な人権に関心を持つべきだ。かつての、在野の人物や議員らがひそかに平壌入りして不意に北朝鮮を称賛するという奇異な行動が、この先総連との接触という形で再現される場合、国家保安法や南北交流協力法など実定法違反での処罰は避けられない。

南成旭(ナム・ソンウク)高麗大学統一外交学部教授・元国家安保戦略研究院長

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