文政権時代の統計操作、共に民主党の我田引水【コラム】

 先月の監査院による発表に基づき、検察が捜査を進めている文在寅政権当時の不動産統計操作疑惑を巡り、国会国土交通委員会では今月11日、国政監査で与野党が激しい攻防を繰り広げた。「統計操作で国民が被害を受けている」という国民の力の指摘に対し、共に民主党は「正当な介入」だと反論した。同党はその際、統計法の一部条項を引用したが、条文を確認してみた。それは自分たちに有利な条項だけを取捨選択した「我田引水」式の主張だった。

 民主党議員は文在寅政権の青瓦台(当時の韓国大統領府)が韓国不動産院の週間マンション価格動向のデータを公表前に受け取ったことについて、「統計法に根拠がある正当な指導監督」だとした。例外的な状況だったとの主張だ。実際に統計法は事前のデータを流出させることを禁止しているが「経済危機、市場不安などの状況では公表日前でも統計の提供を受けることができる」という例外条項がある。しかし、今回の統計操作の争点は、権力者が統計数値を変えるよう実務者に圧力をかけたことだ。一度や二度ではなく、少なくとも94回に上る。統計法のどこにもそれほど露骨な事前介入を認める条文はない。むしろ民主党議員が引用した条文のすぐ前には「統計従事者に影響力を行使してはならない」という文言がある。条文を直接読んでいれば、その事実を知らないはずはない。

 文在寅政権中のソウル市のマンション価格上昇率はKB国民銀行の集計で61.7%、不動産院の集計では19.4%と3倍以上の格差がある。歴代政権下で2つの統計がこれほどまでに食い違ったことはない。だが、野党関係者は「民間統計が無条件に正しいという主張は市場混乱をあおる恐れがある」として不動産院の統計を擁護した。そして、いつも引用するのが実勢価格と提示価格(呼び値)だ。不動産院は実際に取引された価格を中心に集計するため正確だが、KBは所有者と公認仲介士の主観が介入した価格を集計しているため信頼できないとの主張だ。しかし、これもうそだ。KBと不動産院はいずれも実勢価格、提示価格をあまねく反映している。さらに実勢価格だけを集計する「実勢価格指数」を見ると、ソウルのマンション価格は文在寅政権下で95%上昇した。民主党の主張が正しいとしても、KBの統計は実勢価格の動向に近かった事実が数字から読み取れる。

 統計操作で国民の財産権を侵害された事例も明らかになっている。全国24カ所の再開発団地の住民が実際より約1兆ウォン多い負担金を賦課され、前政権で行われた不動産贈与57万件の贈与税が実際より多く課税された可能性も指摘されている。彼らが国を相手取り訴訟を起こせば、社会的に大きな混乱は避けられない。後進国にしかない統計操作で、大韓民国のブランド価値も大きく損なわれた。野党関係者は「統計操作は虚構」と主張する前に被害を受けた国民に謝罪することが政治家としての道理だろう。

チョン・スンウ記者

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