中国青島のビール工場で作業員がビールの原料に放尿する様子を撮影した動画がSNS(交流サイト)のウェイボー(中国版ツイッター)を通じて世界に広がり、大騒ぎになっている。青島ビールと言えば、韓国人もラム肉の串焼きなどと一緒に楽しむ中国を代表するビールだ。輸入する会社は「問題となった工場は輸出用ビールの製造工場ではない」と事態の沈静化に必死だ。
今回の青島ビール事件は2年前の「裸キムチ騒動」を思い起こさせる。「中国で白菜を大量に塩漬けする方法」と題された動画には、さび付いた掘削機を使って塩漬けした白菜を持ち上げる様子や、裸の作業員が大量の塩漬けされた白菜の中に入ってこれを交ぜる様子が映し出されていた。衛生という概念がまさに「皆無」のこの動画に韓国人も驚愕(きょうがく)した。当時中国は韓国政府の担当者を現地に呼び「今はそんなケースはない」と説明した。しかし事態は改善されたのだろうか。
中国国営中央テレビは昨年3月、ある食品工場で白菜を塩漬けした「酸菜」を製造する工程で作業員がつばを吐き、たばこの吸い殻を捨てる様子が撮影された動画を公開した。つい最近も中国のある幼稚園で一人の女性が子供の食事用トレーを小便器で水洗いしていた事実が発覚した。数カ月前には中国のある大学の食堂で魚料理から大量のうじ虫が出てきた。別の大学の食堂では料理からネズミの頭が出てきたが、食堂はこれを「カモ肉」と言い張った。しかし最後にうそがばれて大学当局が謝罪に追い込まれる事件もあった。
中国では衛生概念の喪失という次元を超え、偽物食品を製造する事例も後を絶たない。2008年には国連が基準濃度を定める化学物質メラミンの大量に入った粉ミルクが流通し、8人の赤ん坊が死亡し30万人が病院で治療を受けた。07年には100%化学物質で製造された偽物の卵が流通し中国人も衝撃を受けた。詐欺師たちはアルギン酸ナトリウムで白身を、合成着色料と塩化カルシウムで黄身を作り、炭酸カルシウムで作った殻に入れ偽物の卵を完成させたという。
有害偽物食品といえば豆腐、春雨、ギョーザ、蜂蜜、牛肉などが定番だが、中には偽物の米もあるという。数年前にジャガイモのでんぷんに合成樹脂を混ぜて作った偽物の米がナイジェリアに輸出され摘発された。上海では毒物が入った偽のコーリャン酒を飲んで失明したケースもある。中国の詐欺師たちはフランスのワインまで偽物を作り流通させている。フランスの高級ワイン「シャトー・ラフィット・ロートシルト」は年間24万本しか生産されていないが、中国ではこのワインが200万本以上流通している。これが何を意味するか、もはや説明など必要ないだろう。そのため中国中央テレビさえも「中国の食品はいつも問題を抱えている」「信じて食べられるものがない」と嘆いている。
金洪秀(キム・ホンス)記者