韓国最高裁判決に慰安婦施設反発 「帝国の慰安婦」著者の名誉毀損認めず

【広州聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦被害者が共同生活を送る韓国の施設「ナヌムの家」(京畿道広州市)は26日、著書「帝国の慰安婦」で被害者の名誉を傷つけた罪に問われた朴裕河(パク・ユハ)世宗大名誉教授の上告審で大法院(最高裁)が名誉毀損(きそん)にはあたらないとする判断を示したことに対し、「理解できない」と反発した。

 同施設側の関係者は大法院判決の直後、聯合ニュースに「問題の本は慰安婦被害者を売春婦、(旧)日本軍の協力者として記述するなど事実をゆがめ、売春を正当化して被害者の名誉を傷つけたにもかかわらず、(朴氏を)処罰できないというのはあり得ない」と語った。

 大法院はこの日、刑法上の名誉毀損罪に問われた朴氏の上告審判決で「二審が有罪と認めた表現は被告の学問的主張あるいは意見の表明と評価するのが妥当であり、名誉毀損罪で処罰すべき『事実の適示』とは見なしがたい」とし、罰金1000万ウォン(約110万円)とした二審判決を破棄して審理をソウル高裁に差し戻した。今後、無罪となる公算が大きい。

 朴氏は著書で慰安婦について「売春」「(旧)日本軍と同志的関係」などと記述し、日本による強制連行はなかったと虚偽を記したとして、名誉毀損罪で検察により2015年末に在宅起訴されていた。

 一審は「学問的表現は正しいものだけでなく間違ったものも保護すべきだ」として無罪を言い渡したが、二審は検察が名誉毀損とみなした35件の表現のうち11件が虚偽事実の適示にあたるとして罰金刑を言い渡した。

 慰安婦被害者9人は14年、朴氏を相手取り損害賠償を求める民事訴訟を起こしている。原告のうち6人はすでに亡くなり、存命の3人はナヌムの家で生活している。
 同施設の関係者は「3人は高齢で健康状態もよくないが、考えは昔も今も同じだ。(旧)日本軍に連行されて性奴隷として搾取された。朴氏の本は虚偽だと言っている」と伝え、判決を残念がった。

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