韓国大法院「帝国の慰安婦」無罪判決…常識を確認するのに6年費やさねばならなかったのか【10月27日付社説】

韓国大法院「帝国の慰安婦」無罪判決…常識を確認するのに6年費やさねばならなかったのか【10月27日付社説】

 2013年に「帝国の慰安婦」を出版後、名誉毀損の罪で起訴されていた朴裕河(パク・ユハ)世宗大名誉教授が26日、韓国大法院で事実上の無罪判決を受けた。 一審は無罪、二審は1000万ウォン(約111万円)の罰金刑だったが、大法院は「名誉毀損罪で処罰できる事実の摘示とは言い難い」とし、二審判決を破棄し、無罪の趣旨で審理を差し戻した。

【写真】「帝国の慰安婦」裁判を担当した盧貞姫大法官(2022年4月撮影)

 「帝国の慰安婦」は慰安婦問題と長年取り組んだ学者として、研究結果と所信を表明した本だ。こうした学問的成果に対し、法的処罰の可否を判断すること自体が不適切だという指摘が多かった。朴教授の裁判は韓国社会で学問の自由に対する新しい準拠となり、韓日関係にも影響を及ぼし得るという点で注目された。朴教授が起訴されると、日本政府の植民地支配と慰安婦問題で謝罪談話の発表を主導した村山富市元首相、河野洋平元官房長官ら日本の知識人約50人が批判声明を出した。

 大法院は名誉毀損罪で学問的研究による意見表現を事実の摘示として評価することには慎重であるべきだとした。さらに「全体的な脈絡から見れば、朴教授が日本軍による強制連行を否定したとか、(慰安婦が)自発的売春行為をした、日本軍に積極的に協力したという主張を裏付けるために(売春婦などという)表現を使ったとは見なせない」とし、二審判決に問題があったと指摘した。検察が学問の領域までほじくり返し、裁判所が時流に便乗した判決を下してはならないという常識を確認したことが遅ればせながらの教訓だろう。

 大法院の判決を見るにつけ、何の争点も見つからないのに、なぜこれほど長期間を要したのかも検証すべきだ。 朴教授は17年、大法院に上告した。 事件を担当した盧貞姫(ノ・ジョンヒ)大法官は18年8月、前任者の退任で事件を引き継ぎ、それから5年2カ月後に判決を下した。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領に任命された盧氏は左派・革新系のウリ法研究会所属で、任命権者の意中に沿った判決を下すと評されてきた。今回の判決も文前大統領の任期中に十分に下すことができる事案だったが、朴槿恵(パク・クンヘ)政権が結んだ慰安婦合意を事実上破棄し、反日を掲げた文在寅政権の路線と相容れないために判決を先送りし続けたのではないかという批判を免れない。

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