「パレスチナは弱者」…米大学、反イスラエル派による対立激化

 イスラエル・ハマス紛争を巡る学内の対立激化により、米東部の名門大学・コーネル大学が2日(現地時間)、緊急休校を発表した。コーネル大学は「3日のすべての講義を休講にする。ここ数週間の特殊な圧力と緊張の高まりを考慮した措置だ」と説明した。コーネル大学ではこのほど、「ユダヤ系学生を銃で撃つ」と脅迫する文をインターネット上に掲載した学生が起訴されたが、この事件を巡り親イスラム派と親イスラエル派の学生たちの対立が激化、正常な授業が不可能な状態に陥っていた。問題の学生はキャンパスで銃器を所持し、ネット掲示板に「ユダヤ人女性に性的暴行を加える」「ユダヤ人が産んだ赤ん坊たちの首を切る」などの文を投稿して起訴された。

【表】イスラエルとハマスの「文化戦争」の場になった米国の大学

 先月7日に発生したイスラエルとハマスの紛争が世界各地で「文化戦争」の様相を呈している中、米国の大学キャンパスは最も激しい対立の場になりつつある。ハーバード、イェール、コロンビアなどの名門校をはじめとする米国の大学の進歩的な学風、大学に対するユダヤ人の絶大な財政的・文化的影響力、米政府の親イスラエル路線などが相まって、対立がさらに深まっている状況だ。

 米国の保守系メディア「アキュラシー・イン・メディア」(AIC)は紛争発生後、そのきっかけとなったハマスによる先月7日の奇襲攻撃の責任をイスラエルに転嫁したハーバード大学やコロンビア大学の学生の氏名と写真を大型電光掲示板で公開した。ネット上には「ハーバード大学・コロンビア大学の代表的なユダヤ人嫌悪者たち」という文と共に、イスラエル非難声明に署名した学生たちの氏名と写真が掲載された。このため、反イスラム・デモ隊などが学生たちを攻撃する危険性が高まった。マンハッタン北部にあるコロンビア大学はもともと外部の人々も自由に出入りできたが、イスラエル人学生が図書館前で暴行される事件が発生したため、先月12日以降は学生・教職員だけが出入りできるよう校門で規制を行っている。

 イェール大学の大学新聞「イェール・デイリー・ニュース」では先日、親イスラエル派学生サハル・タルタクさんが書いたコラムの文中から「ハマスが女性に性的暴行を加え、男性を斬首(ざんしゅ)した」という内容を勝手に削除して騒動になった。アニカ・セス編集長は謝罪文を掲載し、「修正措置は他メディアの報告と修正を手本にした」と説明した。ユダヤ系学生の割合が高いルイジアナ州テュレーン大学周辺では、学生3人がパレスチナを支持するデモ隊から攻撃を受けて負傷する事件が発生した。

 イスラエルの友好国である米国の基本路線は親イスラエルであり、今回の紛争についてもバイデン大統領らはイスラエルを全面的に支持すると表明している。それでも大学で特に対立が深まっているのは、大学の進歩系知識人らが主に訴えてきた「弱者に対する擁護」を中心とするポリティカル・コレクトネス(political correctness=政治的妥当性)主義がパレスチナ支持の声を強め、従来の親イスラエル路線と衝突しているためだ、という見方がある。大学生の相当数が、軍事力・経済力でイスラエルと比べものにならないくらい劣っているパレスチナを「弱者」と見なして支持しているということだ。

 イスラム過激派テロ組織による米同時多発テロ事件(2001年発生)以降、米国を席巻した反イスラム思考に染まっていない2000年代初め生まれの大学生たちがパレスチナを支持し、それより上の世代と対立している、という見方もある。英経済誌エコノミストは「米同時多発テロ事件はハマスなどイスラム武装集団に対する米国人の見方を形成したが、20代(の米国人)にはそうした直接的な記憶がほとんどない」「彼らはむしろ、『イスラエルがパレスチナを抑圧する横暴な振る舞いをしている』と考えてパレスチナを支持しているが、これによって反イスラム勢力との衝突が発生している状況だ」と報じた。

 また、米国の大学がユダヤ系寄付者らの主張に敏感になりすぎて、親パレスチナ派の集会などを阻止したことにより、対立がかえってひどくなった、という指摘もある。米紙ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、デビッド・フレンチ氏は2日、「米国の憲法に明記されている表現の自由は『耳にするのも不愉快だったり、悪意があったりすると思われる声も容認すべきだ』と規定しており、大学こそこのような自由主義精神を教えなければならない場所だ」「フロリダ大学など一部の大学では『不愉快で危険だと思われる』という理由で学内のパレスチナ支持派の集まりなどを阻止し、かえって対立が起こっているという面もある」と報じた。

ユ・ジェイン記者
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