非法律的な方法で名誉回復? 法を軽視する「法学者」曺国【記者手帳】

「最終判決を承服」と公言していたのに
一審で有罪…解決策は「出馬」か

 曺国(チョ・グク)元法務部(省に相当)長官は世間の人々にとって、長い間野党系政治家の一人と考えられてきたが、当の曺元長官は自身の身分を「法学者」と言い続けてきた。「(大統領秘書室の)民政首席秘書官(2017年5月-19年7月)になる前に、法を学んで教えてきた法学者」というわけだ。


【写真】曺国元法相「アイ・アム・信頼。 アイ・アム・公正。 アイ・アム・常識。 アイ・アム・法治。アイ・アム・正義」

大学で刑法と刑事訴訟法を教えていた「法学者の曺国」は、いわゆる「曺国事態」が拡大すると大活躍した。「被疑者の防御権を保障せよ」と声高に叫び、検察の取り調べに誠実に臨むと言いながら、自身の言葉を覆して供述拒否権を目いっぱい活用した。妻のチョン・ギョンシム氏と共に裁判に出廷すると「刑事訴訟法第148条に従う(親族に対する証言の拒否権)」という言葉ばかり何百回も繰り返した。その一方で曺元長官は、裁判が進行中の2021年5月に出版した著書で「法学者として、元法務部長官として、起訴された罪状について最終判決が出れば私は承服するつもりだ」とつづった。

 そのような曺元長官が先日、総選挙に出馬するのかと左派系ジャーナリストの金於俊(キム・オジュン)氏に聞かれた際「法律的な釈明が受け入れられない場合、非法律的な方法で名誉を回復する道を探るべきではないかと考えている」と答えた。つまり、出馬したいというわけだ。

 今年2月に行われた一審で、主な罪状13件のうち8件が有罪となり懲役2年の実刑判決が言い渡されたとき、曺元長官は法学者として、この裁判を大法院(最高裁判所に相当)まで持ち込んでも無罪にひっくり返すのは困難だということを誰よりもよく知っていたはずだ。そこで見つけた出口が選挙への出馬というわけだ。名誉回復に言及しているが、当選すればひとまず現役議員として司法府に圧力をかけ、裁判を遅延させることができるとも考えたはずだ。国会でマイクを握り、検察を非難し続ければ、有罪の判決文もかすんで見えなくなると信じているのかもしれない。

 曺元長官は「法体系で疎明と釈明が全く受け入れられない場合、人は非法律的な方法で疎明し、釈明しなければならないという本能があり、それは市民の権利」とも述べた。確かにそれらは市民の権利として保障されるが、曺元長官の出馬は法の抜け穴を突いて司法体系を無力化し、法を軽視する行為だ。ここまで来ると、2年前に公言した「法学者として判決に承服」という言葉はいったいどういう意味だったのか真意が気になる。法学者というよりも法技術者、あるいは法の抜け穴をかいくぐる「法律ドジョウ」という呼び名が良く似合う。

パク・サンギ記者

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  • ▲10月16日、ソウル高等法院(高等裁判所に相当)で行われた二審の公判に出席した曺国元法務部長官。/News 1

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