「宇宙で行われた初の戦闘」 イスラエル軍、大気圏外で弾道ミサイルを迎撃

 イスラエルのミサイル迎撃システム「アロー」が地球の大気圏外で初めて弾道ミサイルを撃墜した。今回の弾道ミサイルはイランの支援を受けたイエメンの親イラン武装組織フーシ派がイスラエル南部のエイラトに向け発射したものとみられる。

【動画】大気圏外で弾道ミサイル撃墜の瞬間

 フーシ派は31日にイスラエルの港湾都市エイラトに向けミサイルを発射したが、これをイスラエル国防軍がミサイル迎撃システムで撃墜した。英テレグラフやイスラエルのエルサレム・ポストなどが5日(現地時間)に報じた。イスラエル国防軍は「Arrow(アロー)」と呼ばれるミサイル迎撃システムにより地球の大気圏外で弾道ミサイルを撃墜したが、これは宇宙で行われた初めての戦闘と考えられるという。テレグラフが伝えた。イスラエルは迎撃に関する詳しい内容は公表していない。イスラエル国防軍は声明で「空軍システムがミサイルを追跡し、最も適切な時間と位置で迎撃した」と発表した。

 イスラエル国防軍は撃墜の瞬間を撮影した動画を公開した。またエイラトで撮影された写真にはアローから出る煙の痕跡が見え、住民は地上で大きな爆発音が聞こえたと話している。

 フーシ派もイスラエル各地を狙った攻撃の一部としてミサイル発射時の様子を撮影した動画を公開した。フーシ派スポークスマンのヤヒヤ・サリー氏は同日声明を出し「わが軍は占領地域にいるイスラエルの数々の標的に多くの弾道ミサイルとドローンを発射した」「今回はイスラエルに対する3回目の作戦であり、(ガザ地区への)イスラエルの侵略が止まるまで攻撃は続くだろう」と述べた。

 軍事専門サイトのアーミー・レコグニションはフーシ派が公開した動画を分析し、イスラエルに発射したミサイルは弾道ミサイル「ブルカン」を改造した「ブルカン3」との見方を示した。ブルカン3は射程距離が最大1200キロに達し、イスラエル領土奥深くにある目標にも到達可能とみられる。

 イスラエルのミサイル迎撃システム「アロー」は今月4日、ガザ地区からネゲブ砂漠上空に向け発射されたハマスの長距離ミサイルも撃墜したという。エルサレム・ポストが伝えた。

 イスラエルのエアロスペース・インダストリーズ社(IAI)が米ミサイル防衛局(MDA)と共同開発したアローはイスラエル防衛システムの最上位とされ、アロー2は大気圏内、アロー3は大気圏外から飛来する弾道ミサイルを撃墜する。アイアンドームは短距離ロケット砲や迫撃砲の破壊を目標とするシステムで、「ダビデスリング」は巡航ミサイルの迎撃に特化されている。

 アローは2017年にシリア政府軍がイスラエル戦闘機に向け発射した地対空ミサイル「S200」の撃墜にも使用されたが、弾道ミサイル迎撃という本来の目的に使われたのは今回が初めてだという。イスラエル国防省の関係者は「撃墜の成功はエイラト住民を守り、フーシ派の傲慢(ごうまん)な態度に一撃を加えること以上の意味がある」「これは、ミサイル発射の背後にあり、またミサイルを供給したイランに対し、イスラエルにはミサイル迎撃システムで対抗する能力があることを証明している」と述べた。

イ・ヘジン記者

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