「神よ、ハマスに罰を」 カメラに向かって叫ぶ人も…表面化するガザ地区住民の怒り

 ガザ地区を実行支配しているパレスチナ武装勢力のハマスに対し、一部住民から反発の声が上がっているという。イスラエルとの戦闘の影響でガザ地区では食料不足、水不足、医薬品不足などが深刻になり、住民の間ではハマスの責任を追及する不満の声が表面化したようだ。ある住民はハマス戦闘員に石を投げ、椅子で戦闘員に殴りかかるなど不満をあらわにしているという。

【動画】「神がお前たちに責任を追及しますように」…ハマス報道官の背後で叫ぶ男性

 イスラエル・メディアの「ザ・タイムズ・オブ・イスラエル(TOI)」は11日(現地時間)「ガザ地区では住民が食料難や病気に苦しんでおり、ハマスに対する怒りが高まっている」と報じた。

 先月7日に始まった戦闘で住民は深刻な生活苦に直面しており、その影響で上記のような動きが表面化したようだ。イスラエルはハマスによる奇襲攻撃を受けガザ地区の封鎖を強化し、影響でガザ地区住民は厳しい生活環境に追い込まれている。さまざまな支援物資の搬入も制限され、住民は食糧不足と水不足に苦しんでいる。1切れのパンで1日をしのぎ、わずかな水を手に入れるため数時間待たねばならないケースも日常茶飯事となった。医療や衛生面の仕組みも崩壊し、下痢、水痘、疥癬(かいせん)などの病気もまん延しているという。

 厳しい状況に耐えられなくなったガザ地区の住民はついにハマスに反旗を翻した。AP通信は匿名の目撃者の話として「一人のハマス戦闘員が水を手に入れるため列に並ぶ人々に割って入り、周囲の人々から石を投げつけられ暴行を受けた」「パンの配給を受けるため並ぶ列に割って入った人にハマス戦闘員が抗議すると、この人は椅子でこの戦闘員の頭を殴った」などと報じた。TOIは「パレスチナ人の一部は長い間厳しい統治を続けてきたハマスの権威に攻撃的に挑戦している。これはわずか1カ月前まで想像もできなかったことだ」と報じた。

 手首に包帯を巻いたある男性がハマス内務省報道官の演説を堂々と妨害するケースもあった。この状況を撮影した動画を確認すると、男性は会見を行う報道官の後ろから「ハマスよ、神がお前たちに責任を追及しますように」と叫んだ。男性は包帯を巻いた手を振りながら叫んでいた。

 ガザ地区のガザ市にある国連の避難所でも不満の声が爆発しているようだ。戦闘開始と同時に家族と共に避難所のテントで過ごすようになった28歳の住民は「ハマスがイスラエルにロケット砲などで攻撃するたびに、避難所に集まる数百人の住民がハマスを非難し戦争の中断を訴えてきた」と語る。ガザ地区で救護活動をしているユセフ・ハンマスィさんは「どこに行っても人々の目には緊張が高まっている。住民はすでに限界に達したようだ」と述べた。

 このようにハマスに反抗する住民が出始めたことについて英テレグラフは「ハマスの権威主義的な統治システムが崩壊し始めたことを示唆する」との見方を示した。「ガザ地区における一般住民の犠牲はイスラエルだけでなくハマスにも責任がある」との見方が広がり始めているのだ。ただしどのメディアも「住民の反感はハマスがイスラエルにもてあそばれていると感じているため」とした上で「ガザ地区住民の間に広がるハマスへの反感は、イスラエル支持を意味するものではない」と指摘している。

パク・ソンミン記者

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