「酒に酔った、救急病院までお願い」 不要不急の韓国119番通報、5年で5倍に

「本当の救急患者にサービスが行き渡らない恐れも」

 8月29日午後2時、大邱地域の119総合状況室に「腰がとても痛い。病院まで送ってほしい」という通報が寄せられた。現場に駆け付けた救急隊員が酒に酔って花壇に座っている当該者を発見。メディカルチェックしたものの、異常は見受けられなかった。隊員たちが安全センターに復帰することで事なきを得たものの、同じ時刻に急を要する人が出ていれば、救急のゴールデンタイムを逃してしまう恐れもあったのだ。このように救急とは言えない通報により現場に駆け付けた救急車が、患者を搬送せずに戻ってきてしまうケースが、ここ5年で5倍近くに増えていることが分かった。

【表】不要不急の119番で移送不要となった件数

 11月6日、『119救急サービス統計年報』などによると、昨年全国で119救急隊が出動した件数(360万9382件)のうち、患者の移送なしに復帰した件数(127万9084件)が35.4%に上った。特に「急を要さないため移送不要」となった件数は、2017年の4万4434件から昨年は20万3851件と、5年で4.58倍に増加した。2018年は6万7728件、19年は9万5496件、20年は10万47件、21年には12万3015件など、毎年増加傾向を見せている。「酒を飲んで胸がムカムカするため、救急病院に送ってほしい」「寒くて腹がすいた」など体調不良を訴える通報はもちろんのこと、「ボイラーが故障して寒いので、大家に連絡してほしい」「宅配が届かないので何とかしてほしい」といった生活関連の通報もかなりの件数となっている。

 非救急時の通報が急増したことで、済州や大邱などの地域消防安全本部は「実際の救急患者が119救急隊のサポートを適時に受けることができず、被害を被る恐れがある」と、自制を呼びかけた。現行法上、虚偽やいたずらによる通報が明確と判断される場合、通報者には500万ウォン(約57万円)以下の罰金が科されることもあるが、非緊急時の通報については別途の基準が設けられていない。また「救急患者でない場合は、救急出動要請を断ることができる」という規定もあるが、通報を受けた際に救急・非救急の状況判断が容易でなく、ひとまず救急隊が出動するほかないというのが119の説明だ。

 このため、最近では非救急時の119通報に対し処罰を強化すべきだとする声が高まりを見せている。一部では、患者を移送しない非救急時の通報については、通報者が119の出動費用を支払うようにすべきといった主張もある。

キム・テジュ記者

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