タイ政府が主要観光地に中国人警察官を配置へ…「主権侵害につながる」と懸念の声も

 タイ政府が主要な観光都市に中国人警察官を配置する。中国人観光客を安心させ、中国からより多くの観光客を誘致するためだ。現地のネットでは「主権侵害」との指摘が相次いでいるが、これに対してタイ政府は「中国の警察官配置はタイ警察が提案したアイデアで、主権侵害とは関係ない」と説明している。

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 タイ国政府観光庁(TAT)のターパニー・キアットパイブーン総裁は12日、バンコクのスワンナプーム空港でセター首相と会談し、直後の記者会見で「主要な観光都市のパトロールに中国人警察官を参加させることを決めた」と明らかにした。現地メディアのネーションやバンコク・ポストなどが13日に報じた。ターパニー総裁はセター首相との会談で、タイを訪問する外国人観光客が抱く安全面での懸念を払拭し、より優れたサービスを提供する対策について検討を行ったという。

 ターパニー総裁は「中国人警察官の配置はタイがより安全になったことを中国人観光客に示せる点で重要だ」「自国の警察官を通じてタイが安全であると確信を持てれば、中国人観光客の信頼もより高まる」と述べた。

 今回の決定は先月4日、タイのバンコク都心にあるショッピングモール「サイアム・パラゴン」で14歳の少年が銃を乱射し、中国人観光客1人が死亡したことを受けて出されたものだ。当時この事件の影響でタイ国内では中国人観光客が減少したという。そのためタイ政府は中国人警察官の配置を積極的に後押ししたわけだが、これは中国人観光客を改めて誘致することが目的のようだ。

 タイは今月15日にバンコクの中国大使館と中国人警察官派遣について協議を行う予定だ。

 タイは単純に「安全」のため中国人警察官を主要な観光都市に配置する考えのようだが、ネットでは「主権侵害につながる」として懸念の声も相次いでいる。フェイスブックなどのSNS(交流サイト)では「中国は海外の反体制派を取り締まっているが、タイがその秘密作戦の拠点にならないか心配だ」「単なるパトロールのためなら他国の警察官配置などなおさら理解できない。タイ警察の役割は何なのか」「中国の警察官を連れてきて、タイ警察を解散させることが目的ではないのか」などの声が相次いでいる。

 一連の指摘を受けタイ政府は「中国人警察官配置はタイ警察が提案したアイデアで、主権侵害とは関係ない」と反論した上で「中国人警察官が観光地でタイ警察と共にパトロールするという話は間違って伝えられたものだ」「タイにやって来る中国人観光客は中国人犯罪者の標的になることを恐れている。中国人警察官はタイ国内の中国人犯罪者についての情報提供などの支援を行う予定だ」と説明した。

 タイは観光が直接間接に国内総生産(GDP)の約20%を占める国で、中でも中国からの観光客が最も多くの割合を占める。コロナ渦前の2019年は約4000万人の外国人観光客のうち中国人観光客は1100万人に達していた。外国人観光客全体の約25%以上を中国人が占めていたのだ。実際に中国の中国観光研究院が発表した「2023年上半期の海外旅行ビッグデータ報告書」によると、中国人はマカオと香港に次いで3番目に多くタイを訪問していた。

 そのためタイは経済と観光産業回復のため中国人観光客の誘致に力を入れている。タイは今年9月末から来年2月末まで中国人観光客のビザを免除しており、今後ビザ免除を無期限とする案も検討している。

パク・ソンミン記者

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