155年にわたる英国の植民統治が「中国と違う香港」をつくった

155年にわたる英国の植民統治が「中国と違う香港」をつくった

【新刊】リュ・ヨンハ著『消えた香港』(サンジニ刊)

 10月初めに韓国を訪れた俳優チョウ・ユンファは「香港では1997年以降、多くのものが変わった」と言い「今は当局の規制が強く、困難な状況だが、多くの人が香港の魂を込めた映画を作るため努力している」と語った。なぜ「中国の魂」ではなく「香港の魂」と言ったのだろうか。疑問を持った読者であれば、この本で答えを見つけることができる。

 清が香港を英国に渡す南京条約を結んだのは1842年。主権が返還された1997年まで、155年間にわたり英国の植民地だった香港は、その歳月の重みと同じくらい、中国とは異なるアイデンティティーを持つに至った。香港で修士号・博士号を取った著者は、このアイデンティティーの差が中国・香港関係の根本的問題だとみている。特に文化大革命以降、「君たち中国」は独裁・残酷・野蛮の国、「われら香港」は民主・人道・文明の地である…という二分法が入ってきた。155年のうち3年8カ月は日本の統治まで受けたせいで、「名分よりは実利」という信念も強まった。これをにらんで中国は、新都市開発計画など実利を前面に押し出し、香港を中国のアイデンティティーで包摂しようとしている。この過程で、元来の香港は消えた-と著者は主張する。歴史が不断に組み立て直されるのと同じく、「香港の魂」も新たにつくられている。368ページ、2万5800ウォン(約2870円)。

申晶善(シン・ジョンソン)記者

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