パレスチナの武装勢力「ハマス」と戦うイスラエルの特殊部隊を描くドラマを制作していたスタッフが、まるでドラマのような結末を迎えてしまった。イスラエルとハマスの戦闘が続いているガザ地区に派遣されて作戦を遂行しているときに、爆発したブービートラップ(偽装爆弾)の犠牲になったのだ。イスラエル紙「タイムズ・オブ・イスラエル」などが12日(現地時間)、報じた。
同メディアによると、Netflixのドラマ『ファウダ -報復の連鎖-』のプロデューサー、マタン・メイアー氏(38)が11日、ガザ地区北部で死亡した。
『ファウダ』は、ハマスと終わりなき戦いを続けるイスラエルの特殊部隊をリアルに描いたドラマだ。特殊部隊の要員だった主人公ドロンが、自身の手で殺したはずのハマスの主要メンバーが生きていると知り、部隊に復帰して危険な任務を遂行するというストーリーを描いた。イスラエルはもちろん、全世界で人気を集め、シーズン4まで制作されている。
同メディアによると、メイアー氏はイスラエルの第551旅団697大隊所属の兵士だったという。ガザ地区ベイトハヌンのモスク前で11日、設置されていたブービートラップが爆発し、697大隊所属の軍人5人が死亡したが、メイアー氏がその中に含まれていたことが分かった。
俳優で『ファウダ』の共同制作者のリオル・ラズ氏は同メディアに送った声明で「マタンは親切で、与えるという精神にあふれた男だった」「マタン、あなたを愛していた。あなたはいつも私を助けてくれた」とコメントした。
同シリーズのメーン・プロデューサーを務めたリアト・ベナソリ氏は「マタンは誰の心にも入っていける特別な魂を持った人だった。私たちはとても寂しくなる」と述べた。
『ファウダ』側はX(旧ツイッター)の公式アカウントで、メイアー氏の死亡を伝え、哀悼の意を表した。
『ファウダ』側は「ファウダ・ファミリーの一人であるマタン・メイアーがガザ地区で戦死したという悲しいニュースをお伝えする。マタンは我々のショーに不可欠なメンバーだった」とつづった。さらに「悲劇的な形で仲間を失い、出演陣・制作陣ともに胸を痛めている。彼の家族や友人に哀悼の意を表する。マタンの魂が安らかに眠りますように」と追悼した。
キム・ガヨン記者