韓国野党「共に民主党」元代表の宋永吉(ソン・ヨンギル)氏が今月9日、自身の著書の出版記念会で、韓東勲(ハン・ドンフン)法務部(省に相当)長官について「若造」「生意気なヤツ」と言ったことが波紋を呼んでいる。韓東勲長官は1973年生まれで今年50歳だ。一方の宋元代表は代表的な「86運動圏」(1980年代に大学に通った60年代生まれの左派市民学生運動勢力)の政治家で、学生運動の経歴を土台に30代から国会議員や地方自治体の首長を歴任した。数十年間にわたって政治的既得権を享受してきたこの世代に対しては「既得権をさらに延長しようとしている」という批判が起きているが、それが今や「86世代不要論」へと拡大している。
かつて延世大で総学生会長を務めた宋元代表は、30代で国会議員、40代で仁川市長、そして50代では、総選挙で180議席を獲得した第1党の代表となった。2021年の党代表選に出馬した際、宋元代表は出馬宣言文で「老害政治を終わらせるべき」と主張した。
しかし、宋元代表は自身の出版記念会で、50歳の長官の弾劾を主張し「こんな生意気なヤツがどこにいるか。この若造が国会に来て人生の先輩や検察の大先輩をあざけり、見下している。こんなヤツをこのまま好き勝手にさせておいていいのか」と述べた。「水筒を頭に投げ付けてやりたい」とまで言った。
宋元代表は、党代表選挙の際の「現金入り封筒ばらまき事件」を機に民主党を離党しており、来年の総選挙に出馬しない意向も示した。しかし党の内外では、条件さえ整えば年明けにも出馬を強行するのではないかとの見方がでている。「私がやらなければダメだ」という86世代独特の自己中心的思考が依然として染み着いているのだ。