国連、北朝鮮人権決議案採択…強制送還禁止を求める

 人権問題を担当する国連総会第3委員会が15日(現地時間)、米ニューヨークの国連本部で会議を開き、北朝鮮の人権侵害を糾弾する北朝鮮人権決議案を採択した。同委員会はこの日、表決なしのコンセンサス方式(議場の総意)で決議案を通過させた。2005年から19年連続で採択された北朝鮮人権決議案は来月、国連総会本会議に上程される。

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 今年の決議案の内容は前回までとほぼ同じだが、先月発生した中国の脱北者強制送還事件を反映させた表現が追加された。中国当局は先月、脱北者約600人を北朝鮮に送還した。これらの脱北者たちは新型コロナウイルス感染症の防疫措置期間中に韓国に行こうとして中国で捕まり、吉林省と遼寧省で収監されていた人々であり、この中には「韓国軍捕虜」の家族もいたと言われている。

 決議案には「すべての加盟国が根本的な『追放及び送還の禁止原則(principle of non-refoulement)』を尊重するよう強く促す。特に、(北朝鮮との)国境間移動が再開された点を考慮すると、なおのことそうだ」という表現が盛り込まれたが、この部分が中国の強制送還問題を指摘しているということだ。新型コロナの世界的流行の影響で閉鎖していた中国との国境を北朝鮮が再び開放し、強制送還が再開された点を指摘したものだ。

 決議案には、脱北者に関連し「国連拷問等禁止条約を順守せよ」という文言も盛り込まれた。国連拷問等禁止条約では「いずれの者をも、その者に対する拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠がある他の国へ追放し、送還し又は引き渡してはならない」と規定されている。この部分も、脱北者が強制送還された時、北朝鮮で拷問など過酷な処遇を受ける可能性があること点から、盛り込まれているという。

 韓国の黄浚局(ファン・ジュングク)国連大使はこの日、「北朝鮮政権は強制労働などの人権侵害を通じて違法に核ミサイル開発資金を動員している」「北朝鮮は民生を度外視し、核ミサイル開発にしがみつくのではなく、住民の人権状況改善のために努力しなければならない」と述べた。

 一方、北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は同日、決議案内容に対して「全て偽りで、捏造(ねつぞう)された内容の文書を毎年提出することは、米国の挑発であり陰謀だ」「人間のクズたちの虚偽証言が盛り込まれている」と述べた。北朝鮮の人権侵害状況を証言した脱北者らに対し、「人間のクズ」と表現したものだ。

ニューヨーク=尹柱憲(ユン・ジュホン)記者

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  • ▲韓国の黄浚局(ファン・ジュングク)国連大使 写真=国連代表部

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