慰安婦補助金を着服した「ナヌムの家」元所長、懲役2年確定

うその書類を用意して支援金を不正受給
亡くなった慰安婦ハルモニの預金を横取り

 日本軍慰安婦被害者支援団体へ支給される補助金をだまし取った罪などで起訴された「ナヌムの家」元所長について、大法院(最高裁に相当)が懲役2年の刑を確定させた。ナヌムの家は京畿道広州にある慰安婦被害者支援施設で、大韓仏教曹溪宗が運営してきたが、被告は2001年3月から2020年6月までここの所長を務めていた。

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 事件は2020年5月、ナヌムの家の職員らによる内部告発で捜査が始まった。尹美香(ユン・ミヒャン)議員が理事長を務めていた正義記憶連帯(正義連)の会計不正疑惑が浮上した直後だった。

 被告は、架空の職員を登録したりうその書類を提出したりして韓国政府や自治体から補助金や支援金を不正受給する等、合わせて9件の罪で起訴された。広報業務を担当していた職員を、週40時間勤務する衛生員であるかのように装い、69回にわたって計5100万ウォン(現在のレートで約594万円。以下同じ)の地方補助金を受け取ったことが分かった。元職員を現職の学芸士であるかのように偽り、文化体育観光部(省に相当。以下同じ)の支援金2900万ウォン(約338万円)もだまし取った。また、看病人を全日勤務させるよりも半日勤務させた方が女性家族部からの補助金をより多くもらえることを利用し、全日勤務の看病人を半日勤務であるかのように偽って1億6000万ウォン(約1860万円)を余分に受け取った。

 被告は、ナヌムの家で暮らしていて亡くなった故キム・ファソンさんの預金6000万ウォン(約699万円)を、伝票を偽造してナヌムの家の口座へ送金させた疑いも持たれている。このほか、公開入札を経たかのように書類をこしらえてナヌムの家の第2歴史館新築工事と生活館増築工事を行い、7億1000万ウォン(約8270万円)の補助金を不正受給した罪も適用された。

 1審の裁判部は今年1月、被告の起訴内容の大部分を有罪とし、懲役2年6カ月を宣告して法廷拘束した。被告が自治体の検査を受けた際、偽の書類を出した業務妨害の容疑のみ無罪とした。続く控訴審の裁判部は今年8月、被告の刑を懲役2年に減らした。2013年から2015年にかけて寄付金を違法に募集した罪、2015年2月にナヌムの家の駐車場敷地の一部を被告名義で登記した罪(不動産実名法違反)が存在するが、公訴時効が経過しており、処罰はできないという理由からだ。この日、大法院2部(主審:李東遠〈イ・ドンウォン〉大法官)は被告の上告を棄却し、懲役2年を宣告した控訴審判決をそのまま確定させた。

 ある法曹関係者は「被告は日本軍慰安婦被害者支援を口実に補助金の不正受給、横領などの犯罪に手を染めたという点で『男・尹美香』と呼べる」と語った。

 尹議員は今年9月、控訴審の裁判で議員職喪失刑に該当する懲役1年6カ月、執行猶予3年を言い渡された。先の1審では、判決の言い渡しが尹議員の起訴から2年5カ月も経っていた上、刑も罰金1500万ウォン(約175万円)だけだった。当時、法曹界内外から「納得し難いもたついた判決」「罪質に比してあまりに軽い処罰」等の指摘が出た。

 来年の総選挙前に大法院で議員職喪失刑が確定した場合、尹議員は総選挙に出馬できなくなる。

イ・スルビ記者

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