最近の韓国就活生は適性より「勤務環境」「給与」重視

職業選択基準のトップ「勤務環境」

 「趣味は趣味、仕事は仕事です。この二つをなぜ一緒に考えようとするんですか」

 韓国の四年制私立大学でフランス語文学を専攻し、今年初めに卒業したイさん(25)は、「年俸」を最優先課題として考慮し、就職準備を行っている。イさんは「どんな仕事をしてもストレスを受けるのは同じだが、給料をたくさんくれるところが最高ではないか」とし「趣味が仕事になると、単につらいだけ」と話す。韓国の自動車大手の販売部署に勤務するパクさん(25)は「今の仕事は適性に合わないが、お金で補償してもらえるので満足している」と話す。次いで「適性に合う仕事をしていても、給料が少なければ、そこにどんな意味があるというのか」という。

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 仕事を探す上で関心事や適性にこだわっていた時代が終わりを迎えようとしている。これに代わって「お金」や「ワークライフバランス」が職業選択時に最も重要な要因となっている。11月20日、統計庁によると、今後1年以内に働き口を希望する非経済活動人口(234万人)の「就職時の主要考慮事項」を調査した結果、1、2位が勤務条件(31.5%)とお金(26.8%)であることが分かった。どちらも集計を取り始めた2016年以降、最高値を示した。3位は適性や専攻(22.9%)、4位は雇用の安定性や事業規模(18.8%)だった。18年までは適性・専攻(29.7%)を考慮するという回答が1位だった。しかし、19年からは傾向が逆転し、お金と勤務環境を優先する傾向がますます明確になりつつある。

 本紙の取材に応じた就活生のほとんどは「仕事はお金を稼ぐ手段であって人生の目的ではない」と口をそろえる。仕事を通じて自己実現をしたり、職業が人生のアイデンティティーを規定することは、旧時代的な職業観だというのだ。これは何も韓国に限った傾向というわけではない。1990年生まれの作家シモン・ストルゾフが書いた『The Good Enough Job: Reclaiming Life from Work(こと足りる仕事:仕事から人生を取り戻す[未邦訳])』は5月に出版されるやいなや、アマゾンでベストセラーへとのし上がった。「仕事を人生の上に置くより、人生を仕事の上に置く選択ができなければならない。皆さんがする仕事は皆さん自身ではない」という内容が若い世代の圧倒的な支持を集めたためだ。

 景況感がなかなか上向かず、暮らし向きが厳しくなったことで、適性を追い求めるのは「ぜいたく」という見方もある。いわゆる「食生活の維持」が最も重要なキーワードとなったというのだ。最近リストラされ求職中のIT業界従事者のキムさん(34)は「事業を諦めるスタートアップ(ベンチャー企業)が増え、雇用の安定性が低下した上、物価が高騰し、自分の手にできるお金がいくらなのかが最も重要な項目となった」と話した。

ファン・ジユン記者

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