ロシア軍のドローンが破壊したウクライナ戦闘機、実はおとりだった

米軍事専門ニュースサイト「ザ・ウォーゾーン」が報じる

 ロシアとの戦争に投入されたウクライナのいわゆる「デコイ(おとり用の模造品)兵器」が成果を上げている。専門家が分析した結果、先日もロシア軍の自爆ドローンが破壊に成功したと伝えられたウクライナ軍戦闘機スホーイ(Su)25が実際は「デコイ」だった可能性が浮上した。

【動画】ロシア軍ドローンの自爆攻撃、一瞬で炎に包まれるウクライナ軍の「戦闘機」

 米軍事専門ニュースサイト「ザ・ウォーゾーン」によると、先月30日にロシア軍ドローンがウクライナ空軍のSu25を攻撃する動画がロシアのSNSを通じて広がった。攻撃が行われた場所はウクライナ中部クリブイリフ郊外の空軍基地だという。動画を見ると、ロシア軍の自爆ドローン「ランセット」が目標に向け飛行した直後に爆発し、ウクライナ軍戦闘機が一瞬で炎に包まれた。この様子はドローンに装着されたカメラや別の偵察ドローンなどで同時に撮影された。

 ところがこの動画には隠された秘密があった。ロシア軍ドローンが破壊したこの戦闘機は実際はデコイだった可能性が高いという。複数の専門家がこの動画を詳しく分析したところ、破壊された戦闘機は実際のSu25と多くの点で違いが見られるようだ。ガラスのパネルではなく防水布で覆われた操縦席、エンジンと翼の接合部、ランディングギア、不規則な長さの翼に加え、影も全体的におかしかった。2回目の爆発が起こらなかった点もその根拠とされている。ある専門家は「廃棄されたSu25の部品で作られたのでは」とも推測している。

 ザ・ウォーゾーンは「これがわれわれの目にした最初のウクライナ軍戦闘機のデコイと考えると、非常に精密で完成度も高い」「ウクライナのデコイを作る技術は模型や戦車、野砲、多連装ロケットシステム(MLRS)などを通じてよく知られている」などと指摘した。

 「デコイ」とは敵を混乱させると同時に、ミサイルや長距離ロケット弾など本当の高価な兵器を浪費させる戦術で、現代の戦闘でも幅広く活用されている。デコイのポイントは敵がこれをいかに素早く破壊するかだ。敵がデコイを実際の武器と認識し、すぐに攻撃してくれば、それだけ優れたデコイと考えられるのだ。実際にウクライナのある地域で模型の曲射砲や野戦用レーダーなどを独自に製作しているウクライナの製鉄所作業員らは今年9月、メディアを通じて紹介された。

 ロシア軍による今回の攻撃は単なるデコイの破壊で終わったが、その一方で「これは最前線とその後方でウクライナ空軍戦闘機が直面している実際の脅威を示している」とザ・ウォーゾーンは指摘する。今回攻撃を受けた基地は最も近い戦闘地域から約45マイル(約72キロ)離れており、以前もロシア軍ドローンによる攻撃を受けたことがある。今年9月にはMig29が同じ基地内でロシア軍のランセットにより破壊された当時の動画が公開された。10月には本当のSu25も攻撃を受けた。

イ・ヘジン記者

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  • ▲破壊されたSu25とみられる戦闘機(写真左)と実際のSu25/X(旧ツイッター)

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