いまだOECD平均には程遠い韓国の育児休業【寄稿】

 このような重要性にもかかわらず、現段階では仕事と家庭の両立支援策は親にとって十分なものとはなっていない。育児休業を取得するにも周囲の目を気にせねばならず、もしかしたら不利益を被るかもしれないと考えると気軽に申請することもできない。育児休業給付金の上限が通常の月給の5割にも満たない現状では、育児休業を取って子育てをしようという気にはなれないのが現実だ。さらに、育児休業給付金の25%は職場復帰後6カ月連続で勤務した後に支給されるため、子育て中の生活費のやりくりをさらに困難にしている。また、韓国の男性の育児休業取得率は先進国に比べて顕著に低い。こうした現状も、韓国の女性の育児負担が依然として大きいことを物語っている。ほかにも、子育て中のフレックスタイム勤務の支援拡大や、雇用保険未加入者が置き去りにされている問題、中小企業の代替人材確保の困難さ、企業文化の改善など、早急に改善すべき問題は多い。

 政府が仕事と家庭の両立の重要性や改善点に気づいていないはずはない。画期的な転換が必要なはずなのに、それができない最大の理由は、財源確保が難しいからだ。予算のほとんどを、枯渇の危機にある雇用保険基金から充当しているため、増額が困難だ。そうこうしているうちに、合計特殊出生率は0.7をも下回るという状況に追い込まれるだろう。手遅れになる前に、一般会計からの繰入金を積極的に増やすなり、財政調整によって未来の世代のための新たな基金を創設するなり、何らかの決断を下すべきだ。

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は11月1日、全国女性大会で「子育てに確実に財政を投入し、女性の社会活動を制約する要素を取り除いていく」と明言した。仕事と家庭の両立における国の責任を強調したのだ。国のやり方に革新的な変化がない限り、少子化問題は絶対に解決できない。

ホン・ソクチョル低出産高齢社会委員会常任委員(ソウル大経済学部教授)

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