韓国の精神障害者向けリハビリ施設、患者の1%しか受け入れられず

韓国政府は増やすというが、地域は反対
市・郡・区の45%に施設ゼロ

韓国の精神障害者向けリハビリ施設、患者の1%しか受け入れられず

 韓国政府は12月5日、重度の精神障害を抱える患者の日常生活への復帰をサポートする精神障害のリハビリ施設を拡充する、と発表した。この施設は、精神医療機関への入院や精神療養施設に入所する代わりに、周囲の市民と共に職業訓練などを受けながら社会復帰を目指すことを目的としている。福祉部(日本の省庁に当たる)の関係者は「市・郡・区ごとに精神障害のリハビリ施設を少なくとも1カ所ずつ置く方向で検討している」とし「地域別に状況が異なるため『義務』ではなく『勧告』にする方針」と話した。

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 しかし、「勧告」だけでは現在明らかに不足している精神障害のリハビリ施設を増やすのは至難の業と指摘する声が多い。現在全国226カ所の市・郡・区のうち、精神リハビリ施設が存在しないのは102カ所(45%)に上っている。現在の収容人数も約6900人と、重度の精神障害を持つ患者(約65万人)の1%しか受け入れられていないのが現状だ。ある専門家は「精神障害を持つ患者を病院や施設で引き続き引き受けていくことはできないため、精神障害のリハビリ施設は必要だ」としながらも「住民の反対などが激しく、政府が自治体に『勧告』する程度では拡充は難しい」と述べた。忠清南道にある精神障害のリハビリ施設は、村で一人暮らしをする高齢者を対象にボランティア活動などを行い、住民たちと親しく過ごす模範ケースとして挙げられた。しかし、施設が狭く、2021年に隣村に移転しようとしたものの、予定地となった村の住民たちが「精神障害を持つ患者が来るのはお断り」と激しく反対。建物の工事さえ始めることができなかった。精神障害の予防も重要だが、精神障害を持つ65万人超の患者が社会復帰していくためのサポート体制を、いかに構築していくかが何よりも優先されるべき、と主張する声が多い。

オ・ジュビ記者

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