「中学校の成績下位50%は職業系の高校に行け」…留学に殺到する中国の生徒たち

 中国が製造業大国ドイツをベンチマーキング(他社の優れた点を学んで改善につなげる手法)するとして実施した職業系高校の活性化政策が、保護者らの間に混乱を呼び起こしているという。12月7日に香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙(SCMP)が報じた。2020年から一般系の高校の合格率を50%に制限し、残りの半分は職業系の高校に進学させようとする政策によって、逆に高校浪人や留学のような、不必要なコストが発生しているのだ。

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 2017年に中国教育部(省に相当)が発表した「高校教育普遍化」政策は、一般系高校と職業系高校の比率の均衡を目標にしている。2020年以降に高校へ進学する生徒を対象に、一般系高校の合格率を人為的に50%水準へ落とし、一般系高校と職業系高校、それぞれへの進学率を50対50で均衡させようとしたのだ。

 この政策が発表された2017年、一般系高校への進学率は57%まで上昇していた。10年前より14ポイントも上がっている。中国国内での教育熱の高まりに伴い、大学に行かせようとする保護者が増え、一般系高校への進学希望者が増えたせいだ。製造業を中心産業に挙げるのが中国政府の立場で、25年になれば3000万人の労働者不足現象が起きかねないという診断まで出たことから、産業労働者育成のための対策を打ち出した。

 学齢期の子を持つ中国の保護者が一般系高校を好むのは、卒業後に社会へ出たときの賃金格差があるからだ。中国国営の高等教育コンサルティング企業「マイコス」によると、昨年の大学卒業者と職業系高校卒業者の月平均所得はそれぞれ5990元(現在のレートで約12万1000円。以下同じ)と4595元(約9万3000円)で、差が出た。上海・南京・杭州を擁して中国最大の経済圏に挙げられる長江デルタでは、大卒1万398元(約21万円)に対し職業系高卒7773元(約15万7000円)と、賃金格差がさらに大きくなった。

 問題は、既に一般系高校進学を目標に据えている保護者は、わが子の職業系高校進学を容易には受け入れられないという点だ。中国では大学入試のように高校入試を別途に行っているが、この点数を上位50%の水準へ引き上げるための私教育費の支出が増えた。甚だしいケースでは高校浪人を選択したり、高校時代から留学を選択したりするケースも増えているという。中国のある人口学者は、SCMPの取材に対し「一般系高校と職業系高校の50対50政策による直接的な結果は、保護者らが子どもの教育において次第に、より非効率的な投資をするようになること」だとし「これによって子どもの養育費用が上昇し、中国の夫婦の出産意欲をそいでいる」と指摘した。

 こうした教育支出の非効率性は、2021年から習近平主席が推進している私教育抑制政策とは正反対の方向へと流れている。習近平は、過度の私教育費は「共同富裕(皆が共に豊かになる)」という国政哲学に背き、少子化を深刻化させるとして、私教育に対する大々的な取り締まりを展開している。SCMPは「中国は韓国に次いで、世界で2番目に子どもの養育にお金がかかる国」だとし「子どもを18歳まで養育するのにかかる費用は、国民1人当たりのGDP(国内総生産)の6.9倍に達し、7.79倍の韓国に次ぐ水準」と指摘した。

チョ・ソンホ記者

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