秒速2km・射程200km…中国海軍、米国が諦めた「夢の兵器」レールガンを開発か

香港のSCMP、研究チームの論文を引用して報道

秒速2km・射程200km…中国海軍、米国が諦めた「夢の兵器」レールガンを開発か

 電磁気力を用いて砲弾を超高速で発射できる電磁気レールガンを中国海軍が開発したという、外信の報道がなされた。レールガンは、長大な射程と恐るべき威力で、未来の戦争の構図を変える「夢の兵器」と呼ばれており、日本もまた「射撃試験に成功した」と明かしたことがある。

【写真】米海軍が2017年に実施したレールガン発射テストの様子

 今月9日(現地時間)の香港サウスチャイナ・モーニングポスト紙(SCMP)によると、海軍工科大学電磁気エネルギー国立核心研究所のチームは、先月発表した論文で「レールガンを120発連続で発射することに成功した」と明かした。連続射撃中も、この兵器は射撃の精度を維持し、類似の研究はこれまで公に報告されたことがない、と研究チームは伝えた。

 レールガンの砲弾は音速(秒速340メートル)の6倍に達する秒速2000メートルで発射され、100-200キロ先の目標まで精密に打撃できる。火薬や化学エネルギーではない電磁気力を用い、ロケットやミサイルが軌道に沿って飛んでいくように、一般の銃砲をはるかに上回るスピードでずっと遠くまで到達できる。レールガン開発の核心は、連続射撃の安定性を確保することだ。

 研究チームは論文で「戦争の兵器類は化学動力から電磁気動力へ徐々に転換しつつある。連続発射の速度は電磁気レール発射システムの戦闘効果を表す重要な指標」だとし「この画期的な発展は、電磁気レール発射システムが今や中断なく安定的かつ速やかに発射できることを意味する」と伝えた。

 研究チームは、研究成功の秘訣(ひけつ)として、10万個以上の構成要素支点から同時にデータを集めて分析できる人工知能(AI)システムを通して精巧な測定と診断が可能になったことを挙げた。このAIシステムは、複雑かつ極限の条件で作動する機械で発生する問題を解決するのにかかる時間をミリ秒(1000分の1秒)単位に短縮し、自ら決定を下すこともできる。

 例えば、装備がやや熱くなるなど問題が深刻でない場合にはテストを継続する一方、実際に被害が生じかねないほどの問題がある場合は砲弾の装てんも発射もしない。

 一部の軍事専門家らは、射程200キロ以上のレールガンは中国海軍の戦力において相当な助けになるだろう、と見込んでいる。また中国海軍は、この兵器が海洋覇権の構図を覆すことができるだろうと期待している、とSCMPは伝えた。

 米海軍はレールガンに巨額の資金と数十年の労力をつぎ込んだが、限られた資源を極超音速ミサイルに集中するため、2021年に開発を放棄した-と同メディアは伝えた。

 日本の防衛省の傘下にある防衛装備庁も最近、今年実施したレールガンの連続射撃試験の結果を報告して「レールガン研究は、弾丸の安定性などに着手するフェーズに至った」と明かした。防衛装備庁は今年5月、直径40ミリ、重さ320グラムの発射体を発射できる中型電磁気レールガンの試作品を公開した。また今年8月には世界で初めてレールガンの洋上射撃試験を実施し、10月には弾薬の飛行安定性試験も終えたという。

 現在レールガンを開発している国は欧州連合(EU)、中国、日本、トルコ、韓国などだといわれている。

イ・ヘジン記者

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