路地で酒盛り、クラブからは夜通し騒音…梨泰院雑踏事故現場、安全秩序はまた崩壊していた

事故現場周辺の路地、通行人に向かって叫ぶ酔っぱらいも

 12月15日午後11時30分、約1年前に「ハロウィーン雑踏事故」が起きたソウル・梨泰院の路地。「10・29記憶と安全の道」として整備されたこの路地の入り口に、長髪の20代男性が友人と肩を組み、ウイスキーの瓶を片手に持って飲んでいた。男性らは20分以上、梨泰院の街をぶらぶらし、大声で歌ったり行き交う人々に向かって叫んだりしていた。警察が出動してウイスキーの瓶を取り上げると、酔った男性らの迷惑行為は収まった。

【写真】梨泰院の世界グルメ文化通りで寝転がる酔客

 ハミルトンホテル裏の「世界グルメ文化通り」を含む梨泰院の路地はこの日、泥酔した酒飲みたちで「カオス」だった。どの路地でも、酒の瓶を手にした酔っぱらいたちが歩きながら酒を飲んでいた。道端には割れた酒の瓶が転がり、酔って寝転がっている人も多かった。梨泰院の派出所の関係者は「金曜日基準で比較すると、コロナ禍のときは50件未満だった夜間の通報が、今は100件を超えており、ほぼ2倍超に増えた」「酔っぱらい関連の通報がほとんど」と話した。

 ハロウィーン雑踏事故の原因の一つに挙げられたナイトクラブや飲み屋の騒音問題も相変わらずだった。「世界グルメ文化通り」は飲み屋とクラブが流す音楽が鳴り響き、そばを歩いている隣のグループの話し声すら聞こえないほどだった。準住居地域である梨泰院一帯は騒音規制区域だが、守られていなかった。昨年の事故ではこの騒々しい音楽のせいで、事故現場近くにいた人たちも状況の深刻さに気づくことができなかった。

 梨泰院の賑わいは雑踏事故前の80%ほどまで回復したといわれている。そんな中、梨泰院の路地自体が「酒盛りの場」に変貌し、その様子は以前よりひどくなった。グルメやショッピングなどで多様性を楽しめた梨泰院の路地が、クラブと飲み屋でほぼ埋め尽くされてしまったからだという。梨泰院の商売関係者は「この状態では『梨泰院の復活』はとても期待できない」として「大通り沿いの商業ビルはいまだに空き店舗が多い」と話した。

 15日の夜には梨泰院にも雨が降った。しかし、どの路地にも飲み過ぎて吐いている20-30代が大勢いた。まともに歩けないほど泥酔した20代の男性は、友人2人に脇を抱えられ、引きずられて移動していた。酔いつぶれた友人をおぶって飲み屋から出てくる男性もいた。酔って転倒し、膝を擦りむいて血を流している女性もいた。

 ある20代の男性は、飲み屋の前の道端で意識をなくしたまま10分以上寝転がっていた。降りしきる雨の中、全身ずぶ濡れになったこの男性は、出動した警察が体をゆすって起こしても、しばらくぼうっとしたままだった。梨泰院で13年以上、店を営んでいるカンさん(68)は「もともと梨泰院の世界グルメ文化通りはさまざまな異国の料理を楽しめる場所だったのに、コロナ後は飲み屋とクラブが立ち並ぶようになり、通りの名前が色あせてしまった」「店から流れてくる音楽で耳がつぶれそうだし、騒々しい雰囲気の中で人々が酒を持ってそこらじゅう歩き回り、人目も気にせずたばこを吸っている」と話した。

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  • ▲道端に座り込む酔客。/キム・ジホ記者
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