「金東雲書記官が容疑者がである根拠は…」 日本の警察庁、金大中拉致事件関連資料の一部を公開

朝日新聞が入手した文書について報道

 1973年に日本で起こった故・金大中(キム・デジュン)元大統領(1924-2009)拉致事件の関連資料の一部を日本の警察庁が公開した。朝日新聞は25日、同紙の情報公開請求により「日本の警察庁から関連資料の一部が開示された」として「金大中氏拉致事件関係(捜査状況)」と題する文書の内容について報じた。

 この文書は金元大統領就任直前の1998年2月2日に日本の警察庁外事課事件係が作成した。13枚の文書の1枚目上部には「秘(無期限)(用済後廃棄)」の判が押してあるという。金元大統領は1973年8月8日午後1時ごろ、東京都内のホテル・グランド・パレス22階の部屋から拉致され、それから5日後の8月13日にソウル市内の自宅周辺で解放された。

 朝日新聞が入手した文書には金元大統領拉致事件の有力な容疑者として、在日韓国大使館の金東雲(キム・ドンウン)1等書記官(当時)が浮上した背景についても記載されている。当時警察がホテルの宿泊客らから事情を聞いたところ「エレベーター内で1人の男から、『助けてくれ、人殺し』と助けを求められた旨の証言を得た」という。助けを求めた男性が金元大統領であり、その周囲には5人の男がいたが、そこに金東雲氏とみられる人物も含まれていたという。

 現場に犯人が残していったとみられるリュックサックからも金東雲氏の痕跡が確認された。警察庁がリュックサックを販売した店を特定して調べたところ、事件2日前に2人の男に売られた3個と判明した。さらに店員から「購入者2人のうち1名は、金東雲に似ているとの証言を得た」と記されているという。

 当時拉致現場からは金東雲氏の指紋が採取された。これを受け日本の警察庁は1973年に金東雲氏に任意での出頭を求め外務省に協力を要請したが、金東雲氏ら一行はすでに日本を出国し、韓国側も「応じられない」と返答したという。

 金元大統領拉致事件はその後も容疑者に対する取り調べは行われず、未解決の状態で事実上終結した。韓国の情報機関である国家情報院は2007年10月、この事件について「当時の中央情報部要員ら20人以上が関係した組織的犯行」とする報告書を公表した。事件は今年8月に発生から50年が過ぎた。日本の警察庁は捜査本部をすでに解散したが、容疑者が国外にいるため時効は停止しており、形だけの捜査は今も続いている。

キム・ドンヒョン記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい