ユーチューブ・SNSで魔女狩り…専門家「イ・ソンギュンさんは心理的に限界まで追い込まれた」

 韓国警察の捜査を受けていた俳優イ・ソンギュンさん(48)が27日、自死に至った背景には、一部メディアの過激な報道のほか、動画共有サイト「ユーチューブ」・交流サイト(SNS)・インターネット掲示板で無分別に広まった未確認情報があった。専門家らは「数回にわたり出頭を求められた様子が公表されたことやアンチコメントなどでイメージが失墜したことで、イ・ソンギュンさんは心理的に限界まで追い込まれたものとみられる」と話している。

 SNS上などにイ・ソンギュンさんに関する動画が拡散され始めて1カ月以上になる。イ・ソンギュンさんが出入りしていたという遊興飲食店室長の女(29)の実名と写真をあるユーチューブ・チャンネルが先月22日に公開して以降のことだ。このチャンネルは「イ・ソンギュンを脅迫して3億ウォン(約3300万円)を脅し取った人物は誰なのか」と疑惑を取り上げた。同じころ、ある地上波テレビ局では違法薬物に関するイ・ソンギュンさんの肉声が一部公開された。

 イ・ソンギュンさんが最後に警察の取り調べを受けた今月23日以降、イ・ソンギュンさんに関する動画が本格的に拡散され始めた。捜査が始まった時期にイ・ソンギュンさんが室長と電話で交わした会話内容や、イ・ソンギュンさんの知人が室長と電話で交わした会話内容などが「イ・ソンギュンと室長の不倫」「イ・ソンギュンがルームサロン(高級個室クラブ)の女を愛しているという音声」などのタイトルでネット上に広まった。

 動画を見ると、室長が「オッパ(女性から年上の男性への呼びかけ)も安心できない。オッパも酔って私となんかやったじゃない」と言うと、イ・ソンギュンさんが「ああ」と答えている。イ・ソンギュンさんの知人との通話では、「(イ・ソンギュンさんと麻酔薬)ケタミンや大麻を使った」「ソンギュンさんが酔って『薬ある? 薬ある?』と聞くので、好奇心で渡した」と話していた。この2本の動画は、イ・ソンギュンさんが死亡した27日の夜9時30分現在、それぞれ88万回、33万回再生されている。

 だが、これは室長の一方的な主張に過ぎない。こうした内容は警察が捜査を通じて解明すべきことだ。

 これについて、ある法曹関係者は「ネットでこれほどの未確認情報が複数拡散され、具体的な通話内容などが確保されていたのなら、イ・ソンギュンさんを保護するためにも警察は早く身柄に関して措置を取るべきだった。結果的には『見せしめ捜査』との非難を免れない」と語った。

キム・スンヒョン記者

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  • ▲違法薬物使用の容疑が持たれていた俳優イ・ソンギュンさん(48)が23日午前、3回目の取り調べを受けるため、仁川警察庁麻薬犯罪捜査係に出頭した時の様子。写真=聯合ニュース

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