国民の力・李俊錫元代表離党、希望を与えた「青年政治」が迎えた結末【12月28日付社説】

 保守系与党「国民の力」の李俊錫(イ・ジュンソク)元代表が、ついに離党した。新党を作って来年の総選挙に挑戦したいという。わずか2年半前、多くの韓国国民の期待を集めて党代表ポストに上った彼が、その党を非難しつつ去って行った。こんなことになるまで多くの紆余曲折があったが、古くて澱んだ政治に李元代表が変化をもたらすだろうと期待していた韓国国民には失望と残念な思いが残った。

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 李元代表は「自分に対する処遇、自分に加えられたつらい記憶のせいで離党するわけではない」と語った。それでも、演説のかなりの部分を尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領批判に当てた。李元代表は尹大統領を「相手を悪の象徴にしてコロシアムで戦う剣闘士」になぞらえた。今の政局を「検察と警察が主導する極限の対立」だとも語った。

 政治家・李俊錫を育てたのは国民の力だ。無名に近かった30代の若者を党代表に据え、全国的な認知度のある政治家にした。李元代表が民主党にいたとすると、こういうことは想像もできない。李元代表と国民の力の間に、埋めることのできない政治的・理念的な見解の違いがあるわけでもない。自由市場経済を信奉し、対北観・安全保障観も差はない。今になって、そんな党や人々と到底一緒にやっていけないかのように語って出ていくというのは、共感を集め難いだろう。

 李俊錫・元代表が離党するのは、全て尹大統領との不和が原因だ。二人の不和がいつから、なぜ始まったのかはよく分からない。だが、特に不和となる理由もなさそうな二人の不和は、不倶戴天じみたものにまでなった。李元代表は尹大統領に向かって「羊頭狗肉」と言い、親尹系のことを「目がくらんだ人々」と呼んだ。入党前から李氏のことを敬遠していたという尹大統領は、就任後、李氏を「性犯罪者」として追及し、党代表ポストから追い出した。その後から、李元代表は尹大統領と国民の力への非難を主任務とするようになった。

 紆余曲折が多い韓国政治史においても、大統領選挙を共に戦って勝利した政党の大統領と党代表がここまで露骨に怨讐となるケースはなかった。大統領選挙で勝った政党なのに、祝祭の雰囲気は幾日もなく、ほぼ毎日不和だった。大統領不支持が支持の2倍にもなる今の韓国国民の評価は、こうした疲労感が反映された結果でもある。国政の責任を負うようになったにもかかわらず、国民よりも自分たちの感情を優先した衝突が絶えず起きているのだから、良い評価をする国民が多いということはあり得ない。

 李俊錫・元代表が今後、どんな道を進むことになるのかは分からないが、犠牲と献身、息の長さ、慎重な言行なしに、今のような姿だけでさらに成長できるかどうかは疑問だ。一時は希望を与えた「青年政治」が、結局はこんな結末を迎えている。

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  • ▲李俊錫・元「国民の力」代表が27日午後、ソウル市芦原区上溪洞のカルビ店で離党および新党結成記者会見を行っている様子。/写真=NEWSIS

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