悲劇を政治化する人々はまず鏡に映った自分の顔を見よ【12月29日付社説】【朝鮮日報】

 韓国最大野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が交流サイト(SNS)に、違法薬物使用容疑で捜査を受けていた俳優イ・ソンギュンさんの死について、「国家捜査権力によって罪のない国民がまた犠牲になった」と投稿したが、後に削除した。イ・ソンギュンさんの死は痛ましいが、残念なことに違法薬物使用の疑いがないとは断定できないのも事実だ。大庄洞・柏ヒョン洞の不正土地開発やサンバンウル・グループから北朝鮮への不正送金など、計7件・10の疑惑で捜査・裁判を受けている李在明代表が突然、イ・ソンギュンさんに同情した理由も想像に難くない。自身も不当捜査の犠牲者だと主張したかったのだろう。

【写真】故イ・ソンギュンさんの遺影…もはや見ることのできないほほ笑み

 とんでもないことに、共に民主党の関係者たちはイ・ソンギュンさんの死を検察のせいにした。黄雲夏(ファン・ウンハ)議員、盧雄来(ノ・ウンレ)議員、梁李媛瑛(ヤンイ・ウォンヨン)議員や元法務部(省に相当)長官の曺国(チョ・グク)被告らが被疑事実公表など検察の捜査慣行を批判した。イ・ソンギュンさんの事件は検察ではなく警察が担当していた。文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の検察・警察捜査権調整により、「違法薬物使用」に関する犯罪は検察が直接捜査できなくなっている。さらに、共に民主党は「検察捜査権完全剥奪法」で検察の違法薬物専門部署をなくし、予算も削減した。これを知らないはずのない人々が検察を批判しているのは、こうした人々のほとんどがさまざまな不正疑惑で検察の捜査線上に浮上していたり、起訴されて裁判を受けたりしている状況と無関係ではないだろう。

 さらに驚いたのは、文在寅前大統領まで加勢したことだ。文前大統領は「捜査機関とマスコミの振る舞いが(イ・ソンギュンさんの)自死の原因だ」と述べた。だが、文前大統領が主導したいわゆる「積弊(前政権の弊害)清算」捜査では4-5人が自死をしている。当時の被疑事実公表と被疑者に対する罵倒は最悪だった。もし最低限の道理でも持っているというのなら、聞こえのいいことを言う前に、鏡に映っている自分の顔を見るべきだろう。

 イ・ソンギュンさん事件の本質はあらゆる方面への違法薬物まん延だ。違法薬物まん延を早期に断ち切れなかった米国や欧州の大都市には「ゾンビタウン」すら発生している。共に民主党は捜査能力の高い検察が違法薬物の捜査をできるようにすべきだ。SNS上で脅迫や暴露が横行している問題についても、国会で対策を協議しなければならない。

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  • ▲ソウル市鍾路区のソウル大学病院葬儀場に設けられた俳優イ・ソンギュンさんの祭壇。写真=news 1

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