文政権時代に見直された韓国情報機関の対共捜査権、きょうから警察に完全移管…安保に懸念の声も

 韓国の情報機関である国家情報院の主な役割の一つだった「対共捜査権」が新年から警察に完全移管された。対共捜査権とは、反国家活動を規制する国家保安法に違反する犯罪行為(スパイ活動など)を捜査する権限だ。警察は「徹底して準備を進めた」と説明しているが、それでも懸念の声は今も根強い。

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 国情院の対共捜査権を廃止する改正国家情報院法は2024年1月1日から施行された。国家情報院の対共捜査権廃止は文在寅(ムン・ジェイン)前政権が強く推進した捜査権見直しの一つの大きな軸だった。同法改正は2020年12月13日に成立し、準備のための猶予期間も過ぎて今年から施行された。これまで対共捜査権は国家情報院と警察の双方が行う形が続いてきたが、改正法ではこれを全て警察が担当することになる。

 これまで国家情報院は家宅捜索などの強制捜査や拘束令状申請が可能だった。しかし今後国家情報院の役割は海外の情報網などを通じて捜査に必要な情報を入手し、これを警察に伝えることに限定される。韓国国内の情報収集活動も同じく禁じられる。

 これに対して警察は安全保障関連の捜査担当者を昨年の724人から今年は1127人へと約56%増員する。うち700人ほどを対共捜査専門とする予定で、これは従来の約400人に比べて75%多い。捜査を専門に担当する「安保捜査団」も警察庁国家捜査本部安保捜査局に新たに設置される。その所属担当者は142人で、これは従来の49人の約3倍だ。内部での異動が多くを占めるが、警察は安全保障専門の担当者を新たに20人採用したという。

 かつて国家情報院が対共捜査を行う際に起こった人権侵害を最小限に抑える前向きな効果は確かに期待できるが、国の安全保障に空白が生じることへの懸念は今も根強い。国家情報院は1961年の中央情報部創設以来、国の体制と公共秩序維持の脅威となる国家保安法違反関連の事件に対する捜査を行ってきた。そのため国家情報院には長い時間をかけて積み上げてきたノウハウがある。

 警察内部の対共捜査業務が大幅に増えることも新たな懸念材料だ。警察では必要な人材確保が本来の計画通り進んでおらず、また予算も十分に確保できていない。警察は当初、猶予期間とされた2021年からの3年間に実績や経歴を持つ外部の人材を採用し、安全保障分野の専門家を121人増やす計画だったが、実際はほとんど採用できていないという。

 情報提供者や協力者に支払う代価など、対共捜査に必要な費用を含む非公開の情報関連予算は多少増えたようだが、国家情報院の捜査業務移管という次元から考えるとあまりに少ないという。情報関連予算を調整する権限は国家情報院にある。警察は先日から予算不足を理由に夜勤や追加勤務を制限するなど、各種手当てさえ制限しているのが実情だ。

キム・スギョン記者

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  • ▲警察庁(ソウル市西大門区渼芹洞)/ニュース1

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