北朝鮮砲弾 黄海境界線の北側7キロに着弾=韓国軍

【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が5日に黄海上の南北軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)付近で実施した砲撃について、砲弾がNLLの北側7キロの地点に着弾していたことが7日分かった。北朝鮮は5日に続き6日も砲撃を実施しており、韓国で4月に実施される総選挙を前に軍事的緊張を高める狙いがあると分析される。

 韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮軍は5日、韓国側の白○島(○=令に羽)の北方と延坪島の北方で海岸砲を中心に200発以上の砲撃を行った。NLLの方向に発射された砲弾の大半は海上緩衝区域に落下し、一部はNLLの北側7キロまで迫った。

 海上緩衝区域は2018年に南北が締結した軍事合意により設定され、海上での偶発的な武力衝突などを防止するため、砲弾射撃と海上機動訓練を禁じている。同区域に北朝鮮の砲弾が着弾したのは22年12月以来。

 北朝鮮軍は6日にも延坪島の北西で60発以上の砲弾を発射。一部がNLL北側の海上緩衝区域に落下した。

 韓国軍は5日に対抗射撃を行い、砲弾は海上緩衝区域に落下した。一方、6日の砲撃は北朝鮮の内陸地域などに向けてのものだったため、対抗射撃は実施しなかった。

 韓国軍高官は北朝鮮が軍事合意の破棄を宣言したことに言及し、「軍事合意に基づく敵対行為の禁止区域がなくなった」と指摘。そのうえで今後は北朝鮮軍の砲弾がNLLを越えたりNLLに接近したりした時にのみ対抗射撃を実施する方針を明らかにした。

 北朝鮮が黄海のNLL付近での砲撃を再開したのは、軍事的緊張を高めて4月の韓国の総選挙に影響を与える意図があるとの見方も出ている。

 北韓大学院大の梁茂進(ヤン・ムジン)総長は「軍事合意破棄による軍事訓練再開の意思を示し、韓国軍の対応を試したもの」と説明。「年初から朝鮮半島の軍事的問題で主導権を握っていることを誇示し、『強対強』、正面対決の意思を誇示した」との見方を示した。

 世宗研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)朝鮮半島戦略センター長は、北朝鮮軍が有事の際に白○島や延坪島などの西北島しょを占領し、焦土化するための訓練を始めたと指摘。米国が大統領選を控えて国際問題に集中できない状況を利用し、北朝鮮が黄海のNLLを無力化しようとする可能性を指摘した。

 国連軍司令官が1953年に設定したNLLを北朝鮮は認めていない。特に黄海のNLLについては、北朝鮮が一方的に引いた「西海警備界線」が基準線だと主張し、無力化を試みてきた。

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