中国が韓国の選挙に介入、組織的な情報工作を多数確認…ネイバーニュースのコメント欄を分析(上)

「尹錫悦候補が大統領になると国が滅ぶ」 

 中国人が韓国のポータルサイト「ネイバー」へのコメント書き込みを通じ、組織的に韓国の大統領選挙と地方選挙に介入していたことが韓国の研究チームによって解明された。コメント活動を行った人々は、保守系与党である国民の力の候補を批判し、革新系野党である共に民主党の候補は支持した。昨年の大統領選挙を控え、当時の国民の力から出馬した尹錫悦(ユン・ソンニョル)候補を「ルームサロンアッパーカット」と呼び、「(大統領が)尹錫悦になれば国が滅び、戦争になる」と主張した。ルームサロンとは女性が接待する風俗店のことで、大統領選の選挙戦では尹候補が選挙集会でボクシングのアッパーカットのパフォーマンスをしたことに関し、民主党陣営がそのしぐさを「検事がルームサロンに行き、酒を飲んで歌い、(カラオケの)点数がよく出た時にするものだ」などと皮肉っていた。

【例】ネイバーニュースのコメント欄にみる中国人の韓国選挙介入

 一方、民主党の李在明(イ・ジェミョン)候補については「皇帝陛下」と呼んだ。主に国民の力を支持する60代以上の人や20代男性、嶺南(慶尚道)地域を中傷する内容も多かった。

 嘉泉大学警察安保学科のユン・ミンウ教授の研究チームはこのほど、ネイバーが配信するニュースに対するコメントをビッグデータ分析手法であるクローリング(定期的にウェブサイトを巡回し、情報を取得・保存する技術)で確認した結果、中国側の組織的なコメント活動と疑われる動きが多数見つかったことを明らかにした。研究チームは中国優越主義、韓国卑下、韓米・韓日関係批判のコメントを大量に書き込んでいる約50のアカウントを発見した。彼らは昨年9~11月だけで3万件を超えるコメントを残していた。「本物のたい焼き」というアカウントからはこの期間に1日平均130件余りのコメントがあった。10分に1件のコメントを残した計算だ。

 研究チームが発見したこれらアカウントは、米国務省のグローバル・エンゲージメント・センター(GEC)と欧州連合(EU)対外行動局(EAS)が公表した中国のコメント工作と推定されるアカウントと同様の特徴を示した。アカウント名に「Chen Yang」など中国式の発音表記や語法が使われたケースが多く、コメントに韓国語の綴りの誤りがあった。

 ユン教授は「海外で確認された中国のコメント工作活動とほとんど同じ内容がハングルで作成されて拡散されるなど、組織的介入としか考えられない」と話した。これらのアカウントは互いをフォローし、ネットワークを形成していたという。彼らがお互いのコメントに「いいね!」を押せばコメントは記事上位に表示されることになる。

 研究チームは、中国のコメント工作を内容によって大きく8つに分類した。親中的内容、中国の見解による国際関係分析、韓国文化・国民に対する卑下、親中派支持および反中政治家中傷、反米・反日扇動などだった。研究チームは、問題のアカウント50個余りのうち、ネットワークハブの役割をしている3個を選び、彼らがネイバーのニュースページに残したコメントを全数調査した。2019年5月から今年9月までこの3つのアカウントが残したコメントは2万6207件だった。

 その結果、中国が21年から22年の大統領選と地方選挙で国民の力の候補に対するさまざまなネガティブコメントを残していた事実が確認された。逆に民主党候補には支持のコメントを付けた。また、類似する内容を一部書き改め、さまざまな関連ニュースに繰り返し書き込んだ。

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