中国が韓国の選挙に介入、組織的な情報工作を多数確認…ネイバーニュースのコメント欄を分析(下)

 「葡萄大将」を名乗るアカウントからは、大統領選1カ月前の昨年2月10日、「20代の若者たちは極右に扇動され、反中が激しい」という書き込みがあった。国民の力に対する支持傾向が強い20代男性を中傷する内容だった。同アカウントは2月11日、「尹錫悦になれば、国を滅ぼして戦争になる。国民よ覚醒しよう」と尹候補を批判した。大統領選3日前の昨年3月6日には、「ルームサロンアッパーカット(尹候補)になれば、韓国は滅びる」と書き込んだ。反対に民主党の李在明候補に対しては「李在明皇帝陛下、お出ましください」などと応援コメントを残した。大統領選2日前には「大統領選後にルームサロンアッパーカットが当選すれば、100%不正だ」と投稿した。

 「葡萄大将」は地方選挙の2ヵ月前に当たる昨年4月21日、「ケッタル(李在明熱烈支持者)よ、やってみよう。今回は宋永吉(ソン・ヨンギル)が勝てる」と民主党の宋永吉元代表への支持を促した。「一つの中国」を名乗るアカウントは来年の総選挙を狙い、「総選挙圧勝で尹錫悦弾劾まで2年以内に終えよう」とコメントした。

 問題のアカウントは曺国(チョ・グク)元法務部長官、尹美香(ユン・ミヒャン)国会議員など野党有力者も応援した。「一つの中国」は昨年1月27日、「頑張ってください、曺国教授。 クッチム党(国民の力、シャーマニズムのクッにちなみ、同党を中傷した呼び方)に3倍返しする」というコメントを残した。「本物のたい焼き」は光復節に当たる21年8月15日、「独立闘士・尹美香先生に反対する人間は皆親日派です」というコメントを残した。

 ウクライナ戦争と台湾問題で中国に友好的な国内世論を形成しようとする試みも見られる。昨年10月29日、「一つの中国」は「独島が韓国固有の領土であるように、ウクライナもロシア固有の領土だ」とコメントした。「葡萄大将」は昨年2月24日、「ウクライナ、ロシアの領土、台湾は中国の領土、独島は韓国の領土というファクト」と書き込んだ。「本物のたい焼き」は今年2月27日、「ウクラ(イナ)とロシアが同じ民族であるように、韓国と中国も同じルーツを持つ一つの民族だ。韓国も中国人の懐に抱かれてこそ幸せだ!」と投稿した。

 研究チームは「22~23年は尹錫悦政権が本格的に脱中国・親米的な行動を取ると、現政権を非難し韓国社会の対立と分裂を助長することで、現政権に負担を与え、政策遂行をまひさせようとしている」と分析した。特に文在寅(ムン・ジェイン)政権期と比べると、現政権に入って中国のコメント攻勢が強化されているという。文政権下では中国に関する広報コメントが主体だったが、尹政権になって、反政府的なコメントが中心になった。

 ただ、研究チームはこれらのコメントを作成したアカウントが中国の公安や当局と関連しているかははっきりしないと説明した。IPアドレスとユーザー情報などに基づき確認しなければならないが、追跡が困難で警察などによる捜査も必要なためだ。

 ユン教授は「今回の研究結果は、中国が韓国の政策決定を難しくし、自分たちに有利な世論を形成するためにニュースコメントとソーシャルメディアで工作を行っているという事実を明らかにした」とした上で、「今年は総選挙を迎え、中国の世論戦がより一層強化される可能性がある。それを防ぐための法令や組織準備が急がれる」と指摘した。

コ・ユチャン記者

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