台湾で反中派政権が3期目…「両岸の緊張増幅、米大統領選が分水嶺」(下)

②トランプ返り咲きの可能性は不安要素

 親米総統の就任を契機に今後の両岸関係がこれまでよりも米中関係の直接的な影響圏に入るという見方が多い。その点で言えば、米中が対話回復に乗り出したことは一種の「安全装置」になり得る。バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は昨年11月、米サンフランシスコで会談し、軍事対話の再開で合意した。郭育仁副院長は「中国は今年3月までに空席にするとみられた国防相を昨年末に急いで任命するほど米国との軍事対話の回復に積極的だった」と述べた。

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 不安要素もある。トランプ元大統領が今年11月の米大統領選で返り咲きに成功すれば、中国と対立した1期目(2017~21年)よりもさらに強力な米国優先主義路線を追求し、中国と衝突する可能性が生じる。郭育仁副院長は「中国に譲歩しないトランプは、ブラフをかけるより強硬な行動に慣れている人物だ」と述べた。

③強まる中国の台湾統一意欲は負担

 台湾統一意欲が高まっている中国の最近の路線も負担になる。台湾に対する中国指導部の発言には最近「一つの中国」のほかに「統一推進」が追加された。それだけ習近平国家主席の台湾統一意欲が強いことを示している。中国の王毅外相は14日、「『台湾独立』は途切れた道であり死の道だ」とし、「中国は結局、完全な統一を実現するだろう」と述べた。

 張五岳所長は「台湾が『二国論』を宣言したり、統一の賛否を問う投票を行うなど本格的に独立の動きを見せたりすれば、中国は待つことなく台湾に軍事的手段を使うだろう」としながらも、「ただそんな問題がなければ、中国指導部はゆっくり(建国100年を迎える)2049年まで待ちながら、米国に対抗し、国力を高めることにさらに集中するだろう」と話した。

④台湾海峡の緊張は韓国経済を直撃

 戦争まで行かなくても台湾海峡の緊張が高まった場合、韓国の物流・エネルギーなど関連産業は打撃を受けるリスクがある。国防安保研究院国防戦略資源研究所の蘇紫雲所長は「韓国のエネルギーの62%、日本は90%が台湾海峡を通過するだけに、海峡の安全保障は主要国の利益と直結している」と話した。

 自由陣営に友好的な民進党の政権維持は、韓国が台湾と半導体など先端産業分野で協力を拡大という側面では肯定的だ。頼氏は選挙前日の12日、韓国との関係を問う本紙の質問に対し、「韓国と新たなサプライチェーン(供給網)を形成するための安全保障対話を行い、インド太平洋を守るために協力したい」と答えた。今後台湾が半導体サプライチェーンなどで韓国と協力を強化する可能性を指摘した格好だ。台北を訪問した韓国外大の康埈栄(カン·ジュンヨン)教授は頼氏の発言を「異例のこと」と評価。「米国はインド太平洋戦略とサプライチェーン掌握のため、台湾が韓国との関係を強化することを望んでいる」と分析した。ジョージ・H・W・ブッシュ米中関係基金のイ・ソンヒョン上級研究委員は「台湾は米国で米中競争の象徴として、名実共に浮上した。台湾は米国の支援を受け、主な民主主義国家と協力し、国防力、経済力を強化しようとするだろう」と指摘した。

台北=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員

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  • 本紙がインタビューした台湾の政治・軍事専門家。左から張五岳・淡江大両岸関係研究センター所長、郭育仁・台湾国策研究院副院長、宋承恩・遠景基金会副執行長、蘇紫雲・国防安保研究院国防戦略資源研究所長/台北=李伐飡特派員および蘇紫雲氏提供

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