韓国国会で尹美香議員主催討論会、出席者から「北朝鮮による戦争は正義の戦争観」などの発言相次ぐ(下)

 討論会では参加者の多くが現政権と韓米同盟体制への不満を隠さなかった。尹美香議員は開会のあいさつで現在の南北緊張状態に言及し「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の反北・滅北政策はわれわれの障害となっており、これを利用して利益を得る米国と日本の軍事同盟体制を解決する道をこの討論会で見いだしてほしい」と呼び掛けた。

 韓神大学平和統一政策研究センターのチャン・チャンジュン所長は「韓半島の戦争危機は実在するが、その実在の根源は北朝鮮ではなく韓米同盟にある」と指摘した。市民団体「キョレハナ」のイ・ヨンヒ事務総長は「こちらが恥ずかしくない政府、主権を持った政府を持つべきだ」と主張した。

 平和オモニ会のコウン・グァンスン理事長は「北朝鮮は完全な自主国防で、教育・医療・住居も南は競争で北は無償だ。親日清算も南は完全に失敗したが北は成功した。どちらがまともに生活しているだろうか」と主張した。コウン理事長は「南は自主意識もなくフラフラしているので、いつも外勢が軍靴のまま操っている」「国家保安法が今も威力を発揮している。また米国の剣は、本心を示した偽の国連軍司令部の存在そのものに沈黙している」と批判した。

 南北民間交流協議会のイ・ハンヨン理事長は現政権について「獣のような政治勢力」と非難し「新しい平和の勢力が政権を取れば、再び希望を見いだすことができる」と訴えた。イ・ハンヨン理事長は「まずは4月10日の選挙に勝ち、200議席以上を確実に確保して年末には(現政権を)追い落とすべきだ」と主張した。

 尹美香議員事務所は「キム理事長の発言は個人の見解に過ぎない」「いかなる場合でも韓半島に戦争は絶対に起こしてはならない。これが議員事務所の立場だ」とコメントした。これは「キム理事長の統一戦争論などの主張に議員事務所は同意するのか」との質問への回答だ。討論会開催の趣旨について事務所側は「最近のように韓半島で危機が高まった状況の中、平和を模索する意図で開催した」と説明した。

 キム・グァンス理事長は本紙の電話取材に「北朝鮮の戦争に同調するという意味ではなく、北朝鮮の今の主張に学者として『内在的接近』を通じて理論的な展開を試みたものだ」と述べた。「北朝鮮の戦争観を受け入れるという意味に解釈可能だ」との指摘にキム理事長は「主語と述語の流れを少しあいまいに話したかもしれないが、正義の戦争に立脚し、戦争を通じてでも統一を成し遂げれば、それは北朝鮮の立場から受け入れられるということだ」と説明した。

 キム理事長は「分断構造では完全な平和など確かに実現しない」「北朝鮮は最後の手段ではあるが、戦争をしてでも統一する決意を示している。北朝鮮は国家保安法内の合法的な統一運動に死亡宣告を下したので、こちらがその形の統一運動を続けても、戦争で統一するという北朝鮮の決意を変えることはできない」とも主張した。

 「統一戦争論はかつて南朝鮮労働党が掲げた戦争擁護の論理に近い」との指摘にキム理事長は「よく似た側面もあるだろうが、北朝鮮が戦争で統一を目指しているので、逆説的な意味から国家保安法を超えた統一運動を強調したものだ」と反論した。「今の大韓民国の体制ではそのような統一運動は難しいか」との質問には「そうだ」と答えた。

ウォン・ソンウ記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい