米エミー賞受賞の韓国系米国人イ・ソンジン監督「今や韓国人の観点が世界人の観点になった」

エミー賞8冠、ドラマ『BEEF』のイ・ソンジン監督インタビュー

 「米国人は今、韓国に非常に関心があり、韓国人についてとても知りたがっています。ですから、わざわざ米国人の考えに寄せるようなことはしないでください。心を打つストーリーは既に自分の中にあるのですから」

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 1月15日(現地時間)、米ロサンゼルスで行われた第75回プライムタイム・エミー賞授賞式で、ネットフリックスのドラマ『BEEF/ビーフ 〜逆上〜 』(以下、『BEEF』)で監督賞などを受賞したイ・ソンジン監督は、本紙との単独インタビューでこう話した。エミー賞は「テレビ界のオスカー」と呼ばれる米テレビ界最高の権威ある賞で、この日『BEEF』は作品賞をはじめ8部門を席巻した。

 イ監督は韓国で生まれて米国に移住した韓国系米国人だ。イ監督は両親の都合でイリノイ・ルイジアナ・ミネソア・アイオワ・テキサス・フィラデルフィアの6つの州を転々とした。イ監督は「幼い時に何度も引っ越しをすると目端が利くようになる。人を観察する能力は、優れた作家になる上でプラスに働いた」と話した。

 イ監督の家族は、キムチチゲをよく食べる典型的な韓国系だった。韓国系の教会にも熱心に通った。両親はイ監督が熱心に勉強して大企業に入社するか、専門的な職業に就くことを望んでいた。監督自身も当初は期待に応えるために米ペンシルベニア大学経済学科に進学した。しかし「銀行で働く人生はあまりにも不幸な気がして、見通しもない状態でニューヨークに行ってアルバイトをしながら台本を書き始めた」と話した。

 米国での学校生活は容易ではなかった。先生は出席を取る際、イ監督の名前を正しく発音できなかった。友人たちも名前をでたらめに読んでからかった。そのころ、名前を「ソニー(Sonny)・リー」に変えた。5-6年前から米国では「多様性」がブームになり、再び名前を「イ・ソンジン」に変更した。イ監督は「米国人は、ポン・ジュノ(監督)、パク・チャヌク(監督)の名前を呼ぶときは間違えない。自分も『イ・ソンジン』という名前で認められたかった」と話した。イ監督は「『BEEF』は5年前だったら絶対に生まれていなかった作品」だとして「韓国人の観点が今や世界人の観点になっている」と語った。

 高校生の時に両親から中古のマツダ製ミニバンをもらい、初めて「自由」を感じたというイ監督は、5-6年前にBMW車を運転していた白人男性に罵倒されたことが『BEEF』構想のきっかけになったと話す。イ監督は「韓国の映画と俳優に非常に関心がある」として「ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、ペ・ドゥナ、チョン・ホヨン、ユン・ヨジョンらと仕事をしてみたい」と話した。

イ・ヘウン記者

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  • ▲韓国系米国人の生活は過酷だった。学校生活で浴びた嘲笑、両親の過度な期待、貧困と差別。その全ての経験を込めた『BEEF』でエミー賞の監督賞、脚本賞などを受賞したイ・ソンジン監督は「過酷な人生をユーモラスに解釈する監督になりたい」と話した。/イ・シンヨン映像メディア記者

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