脱北の元駐英公使・太永浩議員「ロシアに武器を売りながら戦争するって? 金正恩の空威張りを不安がる必要はない」(上)

国民の力・太永浩議員インタビュー

 韓国の保守系与党「国民の力」の太永浩(テ・ヨンホ)議員が1月17日、このところ北朝鮮が政治的・軍事的挑発を強化していることについて「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が戦争を準備しながら、自分のところの武器をよその国に売るというのはつじつまが合わない」とし「金正恩の虚勢や恐喝に対し不安に思う必要はない」と語った。

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 太議員はこの日、本紙のインタビューで「金正恩はウクライナと戦争中のロシアに砲弾やミサイルを大量に売っているが、一方では『韓国と米国がこういう事情を知って突然攻め込んできたらどうするか』という不安がある」とし「弱点を隠すため、逆に対南攻勢のレベルを上げている」と述べた。その上で「韓米同盟が強固である以上、北朝鮮は容易に挑発できない」「銃弾や砲弾が行き来することはあり得るが、哨戒艦『天安』爆沈のような特大の挑発を繰り広げることはないだろう」との見方を示した。最近北朝鮮はロシアやパレスチナ、イエメンのフーシ派などにミサイルだけでなく砲弾に至るまで、武器輸出を大幅に増やしたといわれている。

 北朝鮮のエリート外交官出身の太議員は、脱北から4年後の2020年4月15日の総選挙で、ソウル・江南甲選挙区から出馬して当選し、現在は国会外交統一委員会の与党幹事を務めている。

 以下は太永浩議員との一問一答。

ー北朝鮮が昨年末から政治的・軍事的挑発を強化している。

 「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後、韓米日の三角安保体系が強化され、韓米核協議グループ(NCG)も新設されたことにより、北朝鮮の核への対応能力が緻密なものになった。以前の金正恩は、これまで韓米同盟がきちんとした備えをできていなかった核戦争の部分を弱点と捉え、食い込もうとしていた。ところが韓米同盟が北朝鮮の核への対応能力まで緻密に備えるようになり、金正恩は不安になったのだ」

-今年4月の韓国の総選挙と11月の米国大統領選挙の日程を考慮した挑発という解釈もある。

 「同意する。金正恩は、ドナルド・トランプ前大統領がジョー・バイデン大統領を破って当選し、米国と再び対話・交渉できるチャンスが来ることを望んでいる。金正恩の立場からは、トランプ前大統領が当選するようにするため、『バイデン政権が北朝鮮と対話もしないから北朝鮮がこのように高度化された核兵器を持つようになった』という認識を米国国民に植え付けたがっている。そのために、新しく、多様化した武器をしきりに見せようとし、挑発のレベルも高めているのだ」

-韓国の総選挙にはどのような影響を与えようとしているのか。

 「国民の力は『力による平和』、民主党は『勝つ戦争より汚い平和』を主張している。北朝鮮の政権は、両党の主張の中で韓国国民がどういう選択をするかを眺めつつ、策を弄(ろう)していると思う。総選挙が迫れば迫るほど、挑発のレベルをより一層上げるだろうとみている」

-北朝鮮の挑発は総選挙にどれだけ影響を及ぼし得るか

 「過去には、いわゆる『北風』が盛んだったが、今では大した反応はないだろう。最近は、韓国国民が不安に思ったり、在韓米軍の家族が撤収訓練をしたりといった現象がない。選挙への影響も大きくはないだろう。それでも金正恩は、こういうやり方を放棄しない。他に方法がないからだ」

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  • ▲太永浩・国民の力議員が1月17日、国会議員会館で本紙のインタビューに応じた。/李徳勲(イ・ドクフン)記者

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