南シナ海における中国・ASEAN対立、西海の教訓にすべきだ【寄稿】

 その間も中国は、南シナ海へ軍艦を派遣し続け、無人島や岩礁を軍事基地化する作業を進めた。1995年に中国が、パラワン島から130カイリしか離れていないミスチーフ礁(Mischief Reef)を占領すると、当時のシンガポール上級相リー・クアンユーは、これを「大きな犬が気に入った木の下で片脚を上げて縄張りを主張する行動」になぞらえた。

 だとすると南シナ海で進行中の対立状況は、韓国とは特に関係のない東南アジア諸国だけの問題なのか? 韓国と中国は96年以来、西海における境界画定のための会談を続けてきたが、境界画定の具体的方法に関する互いに懸け離れた立場を少しも縮めることができずにいる。むしろ中国は、合意妥結よりも時間の引き延ばしの方に関心があるようにみえる。そうした中で中国は、韓国のEEZ内で自国の漁船が違法操業するのを放置したかと思えば、中間線よりずっと韓国寄りの東経124度の線より西側の海域へ韓国側の海軍艦艇がやって来て作戦をしてはならない、とまで要求した。

 最近では、双方の境界線が確定しない中で臨時に定められた漁業関連暫定措置水域内に石油の試掘施設や養殖場を設置したという事例まで報じられている。西海を実効的にコントロールしているという名分を前もって一つずつ積み上げていき、海洋法条約で認められている韓国の海洋権益を弱めようとする動きだと考えられる。杞憂(きゆう)であってほしいが、南シナ海に九段線を引いた事例が思い浮かぶのは否めない。

 最近は韓国政府も、過去とは違い、南シナ海問題についてよりはっきりとした立場の表明を行っている。これは、韓国の主要交易路である南シナ海において航行の自由を維持するという次元にとどまらず、この問題が結局は韓国の問題ともつながってくることは避けられないという側面を考慮した結果だと思う。中国との交流と友好協力は積極的に拡大していっても、韓国の海洋権益と安全保障利益については原則的な立場をはっきりさせていくことを期待する。

安泳集(アン・ヨンジプ)韓国外大招聘(しょうへい)教授・元駐シンガポール韓国大使

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