中国が5.2%成長? 再燃する「統計操作大国」論争

■実際の成長率は1.5~4.6%と推定

 世界的な投資銀行やシンクタンクは、中国の昨年の成長率が公式発表(5.2%)を大幅に下回るとみています。アメリカのコンサルティング会社ロディウムグループは昨年末の報告書で、「23年の実際の成長率は1.5%をやや上回る水準だ」としました。不動産市場の低迷、予想を下回る消費の伸び、貿易収支の黒字縮小、地方政府の財政悪化などを考慮し、その程度だと推定したのです。

 ロンドンに本社を置く投資コンサルタント会社TSロンバードは独自のGDP計算モデルを適用した結果、23年の中国の成長率は3.6%をやや下回る水準だったと推定しました。

 台湾のシンクタンク、中華経済研究院の王国臣・助研究員は自由アジア放送(RFA)のインタビューに対し、「投資と消費、貿易統計などに基づき計算すれば、10%ほど数値が水増しされたとみられる」とし、実際の成長率を政府発表の5.2%から0.52ポイントを差し引いた4.6%前後と推定しました。

■「政権の正当性を守るために統計操作」

 中国政府が経済統計を操作するのは、共産党政権の正当性を守ることが大きな目的です。経済指標が悪化すれば、共産党と習近平政権の正当性に疑問が提起される可能性があるからです。台湾・東華大学新経済政策研究センターの陳松興主任は「統計操作は共産党と習近平主席を守るためだ」と指摘しました。米戦略国際問題研究所(CSIS)の中国専門家、スコット・ケネディ上級顧問も23年7月のセミナーで、「多くの経済学者が中国のGDPや成長率の統計を信じていない」とした上で、「他の開発途上国より信頼度が低く、ロシアやパキスタンよりも劣るとの声もある」と語りました。

 李克強元首相も2007年に遼寧省党書記を務めていた当時、米国の駐中大使に会い、「中国の統計は私も信じない。電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行の新規融資で景気を判断する」と述べたことがあります。経済誌エコノミストはそれをきっかけに「李克強指数」を算出しました。

 こうした中、国家統計局は1月22日、「中国共産党規律処分条例」を改正し、統計操作を厳重に処罰する方針を発表しました。地方政府の統計操作を取り締まる姿勢を示したものですが、「数値操作は中央政府の判断でやるから、地方政府はしっかり報告しろ」という言葉に聞こえました。

崔有植(チェ・ユシク)記者

【グラフ】中国の公式成長率とFTが推定した実際の成長率

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  • ▲中国国家統計局は1月17日、記者会見を開き、2023年の主要経済指標を発表した。 /同局提供
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