「韓国人が孔子を韓国人だと主張しているって?」【寄稿】

 このような孔子論争の震源は、政界や学界ではない。孔子が東夷(東方に住む未開の異民族)だったという韓国の一部主張が根拠として示される場合があるが、大半は「そう言っていた」という程度のうわさにすぎない。それでも看過できないのは、そんなデマが積もり積もって相手国に対する認識を形成し、外国人嫌悪感情を助長するからだ。実際に中国版X(旧ツイッター)の微博(ウェイボー)には今も「孔子韓国人説」を非難する投稿があり、中国人の怒りを誘っている。我々も偉そうなことは言えない。昨年ソウル・新林駅での刃物強盗事件当時、犯人は朝鮮族ではないかという書き込みが殺到した。犯罪率が高いという偏見とは異なり、人口10万人当たりの朝鮮族犯罪率は韓国人の半分にすぎない。

 このように刺激的な扇動とでたらめなデマが飛び交う理由は簡単だ。それが利益になるからだ。怒りを誘発する刺激的なコンテンツはソーシャルメディアで再生回数が伸びる。事実でなくてもさほど失うものはない。たかだか警告やアカウント停止程度だ。リスクに比べてリターンが大きいので、紛争で利益を得る「アグロ(aggro・好戦)勢力」がはびこる。ここで悩みの種が生じる。民間で飛び交ううわさに、政府はどこまで介入すべきか。過度な統制はややもすると表現の自由を損ないかねない。政府がそんなことにいちいち介入するのもおかしい。

 解決のヒントも意外にもネット空間にあった。親しい中国人ユーチューバーは直接韓国人に孔子について質問し、「韓国人が孔子が韓国人だと主張しているというのは誤解だ」と訂正してくれた。微博でもデマを批判する書き込みがたびたびあった。うその扇動をする人と同様、ファクトチェックに努力する人も多いと感じた。あえて政府が乗り出さなくても、誤った情報を正そうとする民間の努力が奨励される環境が整えば、フェイクニュースが入り込む余地はますます狭くなるのではないだろうか。

イ・ドンス青年政治クルー代表

【写真】目立ちすぎる漢字の誤表記…仁川空港に設置された中国人向け案内板

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  • ▲仁川市の開港場通りにある巨大な孔子像/パク・チョンイン記者

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