韓国政府「緊密に意思疎通」 供託金受け取りで日本政府が駐日大使に抗議

【東京、ソウル聯合ニュース】徴用訴訟で日立造船が韓国の裁判所に預けた供託金が原告側に支給された件を巡り、日本政府が韓国の尹徳敏(ユン・ドクミン)駐日大使を外務省に呼んで抗議したことについて、韓国外交部の当局者は21日、「双方の立場に基づいた発言があった」とし、「韓日間の懸案について緊密に意思疎通している」と述べた。

 林芳正官房長官はこの日の定例会見で、外務省の岡野正敬事務次官が尹氏を外務省に呼び、韓日請求権協定に明らかに反する判決に基づき、日本企業に不利益を負わせるもので極めて遺憾だと抗議したと明らかにした。

 1965年に締結された韓日請求権協定の第2条には、両国と両国国民の間の請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されたとする内容が盛り込まれている。

 外交部は同問題について、「関係法令に定められた手続きにより供託金が支給されたものと理解している」とし、前日と同様に具体的な評価を避けた。

 原告側は20日、日立造船がソウル中央地裁に預けた供託金6000万ウォン(約670万円)を受け取ったと明らかにした。供託金は、日立造船が二審で賠償を命じられた2019年1月、資産に対する強制執行を防ぐために同地裁に納めていたもの。徴用訴訟に関連し、日本企業が韓国の裁判所に資金を納めた事例は日立造船が唯一とされる。

 2023年12月に大法院(最高裁)で原告への賠償金5000万ウォンと遅延利息支払いを命じる判決が確定した後、原告側は日立造船の供託金を賠償金として受け取るための手続きを進めてきた。

 原告側の代理人は、徴用訴訟で日本企業の資金を受け取った初めての事例と伝えた。

 外務省はこれまで徴用訴訟を巡る抗議を韓国大使館の次席公使を呼んで行っていたが、日本企業の資金が初めて被害者側に渡ったことで、抗議のレベルを上げて尹氏を呼んだものとみられる。

 ただ今回の事例は例外であり、韓日関係改善の流れを止めるほどの影響は及ぼさないとの見方が強く、日本側も韓日関係全般を見直す動きはしないものとみられる。

 徴用訴訟に関連し、そのほかの日本企業が韓国の裁判所に供託した資金はほかにないという。

 21~22日(現地時間)にブラジルで開かれる主要20カ国・地域(G20)外相会合に合わせて開催が調整されている韓日外相会談でも、今回の問題は大きな議題にならないとみられる。

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