ウクライナへの武器供与は自制すべきか【朝鮮日報コラム】

今後ウクライナによる劇的な反転攻勢がなければこの戦争は6・25と同じく休戦で終わる
ロシアに対してレバレッジなしに善意だけを訴えても勝算はない
韓国が武器輸出自制方針の撤回を発表するだけでロシアに圧力
NATOに借りをつくらせ韓国が国難に直面したときに堂々と支援を要請できるようにせよ

 二つ目はウクライナでの戦闘が東アジア情勢に及ぼす影響を無視してはならないという点だ。ロシアがウクライナ侵攻に国力を浪費すれば、それだけロシアが東アジアの平和と安定に害を及ぼす余力が小さくなる。つまりウクライナ軍が善戦すればするほど、北朝鮮と中国の後ろ盾であるロシアの力が弱まり、その戦略的パートナーである中国が攻撃的膨張策で地域の安定を損なったときに中国の方が不利になりやすくなる。その点で韓国も地政学的にはウクライナでの戦闘から恩恵を受けていると言える。ロシアは2019年7月23日に東海で中国と合同軍事演習を行ったが、その際日本でさえ侵犯したことがない独島領海をあえて侵犯した唯一の国であることを忘れてはならない。

 最後に国際的な大義名分と過去に韓国が友好国から受けた恩恵を考慮すべきという点だ。74年前に北朝鮮の南侵で亡国の危機に追い込まれた大韓民国を救ってくれたのは今のNATO加盟国だ。そのNATO加盟国が今ウクライナの抵抗支援に全力を傾けている。この機会を活用して欧州の友好国に韓国への借りをつくらせておけば、韓国が国難に直面したときに堂々と支援を要請できるだろう。1994年のブダペスト覚書でウクライナは旧ソ連時代に配備されていた全ての核兵器を放棄し、その条件として自国の主権と領土の不可侵を確約させた。しかしロシアはこれを完全に無視しウクライナを侵略した文字通り極悪非道の国だ。このような国に対してレバレッジなしに善意だけを訴える外交など全く勝算もないし意味もない。ダブルスタンダードを何とも思わないロシアの脅迫と懐柔に決して惑わされてはならない。

千英宇(チョン・ヨンウ)元青瓦台(韓国大統領府)外交安保首席・韓半島未来フォーラム理事長

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