「ロシア、北朝鮮派遣労働者の帰国便に数十人の脱北者も一緒に乗せた」

昨年9月の金正恩総書記のロシア訪問直前に実現
外交筋「患者に偽装したようだ」

 昨年9月の朝ロ首脳会談直前に両国はロシアから航空機で北朝鮮労働者を帰国させたが、その際数十人の脱北民も同時に送還されたことが分かった。

 ロシア国内の事情に詳しいある外交筋は27日「当時北朝鮮は金正恩(キム・ジョンウン)総書記のロシア訪問に向けた準備のためウラジオストクに2便の航空機を飛ばしたが、この航空機が平壌に戻る際にロシア側の協力で北朝鮮労働者と脱北民の合計370人が分けて乗せられた」と伝えた。さらに「ロシアに派遣された労働者の中には負傷者や病気で仕事ができなくなった患者がいた。また未遂に終わった脱北民なども患者に偽装され航空機に乗せられた」「送り返された脱北民の正確な数は分からないが、少なくとも数十人以上と聞いている」と説明した。

 脱北民本人の意志に反して北朝鮮に強制送還された場合、これは国連難民条約や拷問等禁止条約に定められた「強制送還禁止」の原則に違反する。脱北民の強制送還問題では主に中国が批判を受けてきたが、最近は北朝鮮とロシアが関係を深めているためロシアも強制送還に積極的に協力しているようだ。

 また当初今月予定されていたロシア滞在北朝鮮労働者の帰国は4月に延期されたという。北朝鮮労働者の出国日程に合わせたパスポート有効期間延長などに対し、ロシア当局の対応に多くの時間がかかるためだという。北朝鮮当局は労働者がロシアへの入国審査を終えると同時にパスポートを取り上げて管理している。これは北朝鮮労働者の逃亡を阻止するためで、労働者たちはパスポートを没収された状態で必ず2-5人ずつの組になって動くよう定められている。

 ロシア派遣労働者は北朝鮮に持ち帰る物品購入など帰国準備を進めており、主に医薬品や工具、衣料品など北朝鮮で必要な物品を買い集めている。また物品について韓国製は北朝鮮に持ち込めないが日本製は持ち込めるという。上記の外交筋は「昨年秋から会社ごとに帰国予定の労働者に対して言行などに格別な注意を求めるなど、一種の『思想教育』が集中的に行われている」「当初は幹部から帰国させる予定だったが、幹部が抜ければ労働者の配置など現場の管理に支障が出るため、通訳を含む幹部らは最後までロシアに残ることになった」と伝えた。

キム・ミンソ記者

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