李承晩の獄中著書『独立精神』、日本で初出版

自主近代国家建設のための理論を盛り込む

李承晩の獄中著書『独立精神』、日本で初出版

 韓国の李承晩(イ・スンマン)元大統領=1875-1965=が1904年に漢城監獄で獄中出版した著書『独立精神』の初の日本語版が、2月26日に出版された。版元は歴史書・学術書が専門の原書房。

【写真】1950年10月30日、平壌市庁前広場で開かれた国軍入城歓迎平壌市民大会で演説している李承晩大統領(当時)

 『独立精神』は、自由な個人が主人となる自主的近代国民国家建設の夢を盛り込んだ書籍だ。数千年続いてきた韓国の王政の歴史を民主共和政へと変え、大陸文化圏に属していた政治的・社会的・文化的伝統を海洋文化圏へと移す上で理論的基礎になった著述だと評価されている。韓国国内では日帝強占期に朝鮮総督府によって禁書とされ、最近では東西文化社(2010)、比峰出版社(2018)などから単行本として出版されたほか、2019年に延世大学から初めて出版当時の姿そのままで作った影印本が出た。

 翻訳した金永林(キム・ヨンリム)博士は、中央大学で旧韓末開化思想の展開と李承晩の『独立精神』を研究し、博士号を取った。金博士は「日本人が韓国独立運動の論理と大韓民国の建国理念をきちんと理解することが、韓国と日本の真の友好関係のために重要だと考えた」と語った。

 また同書が、「朝鮮は自主的近代化が不可能な状況だったので植民支配を通しての近代化は避けられなかった」というような、かつての日本の主張に正面から反論する史料だとも述べた。李承晩をはじめとする当時の知識人らが立憲政治と共和政治の実現について具体的な考えを持ち、実践しようとしていた証拠であって、日帝の植民支配はその萌芽(ほうが)を踏みにじる行為であったことを傍証しているのだ。

 翻訳本の草稿を監修した日本の研究者らは「開化期の福沢諭吉が、西欧式の議会制度や平等教育などの導入を主張したとはいえ単なる思想家にとどまったのに対し、李承晩は、実際に自分の手で近代国民国家を創出したという点で、はるかにすごい」という反応を示したという。

兪碩在(ユ・ソクチェ)記者

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